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エレベーター(昇降機)の定期検査報告書とは?内容や流れを解説

作成者: QUANDOブログ編集部|Mar 6, 2026 6:09:48 AM

 

エレベーター(昇降機)の定期検査報告書とは

エレベーターの定期検査報告書は、昇降機の安全性を守るための法定検査の記録です。建築物の所有者または管理者が専門資格を持つ者に検査を委託し、結果を特定行政庁に報告します。報告が完了すると「定期検査報告済証」が発行され、エレベーターのかご内に掲示されます。

あらためて、その定義や特徴を見ていきましょう。

定義:エレベーターの安全確認記録

定期検査報告は、エレベーターの安全性を確保するために、6ヶ月から1年ごとに実施することが義務付けられています。

その検査頻度は建築基準法施行規則第6条において「おおむね6月から1年までの間隔」と規定されています。ただし、具体的な報告時期は各地域の特定行政庁が決定する仕組みです。

作成した検査記録については、国土交通省が定める「昇降機の適切な維持管理に関する指針」に基づき、3年以上の保管が義務付けられています。これは、保守点検業者が昇降機の経年変化や劣化の傾向を適切に把握できるよう、過去の検査履歴を参照できる体制を整えるためです。

検査対象:エレベーター全般

定期検査報告の対象は、建築物に設置されたすべてのエレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機および遊戯施設です。

ただし、いくつかの例外があります。以下の表で確認しましょう。

区分 対象となる設備 理由
検査対象 ・オフィスビル、商業施設、病院、ホテル、駅舎などのエレベーター
・エスカレーター
・小荷物専用昇降機
・階段昇降機
・観覧車やウォータースライドなどの遊戯施設(年2回)
不特定多数が利用し、事故時の被害が広がりやすいため
対象外 ・ホームエレベーター(一戸建て、長屋または共同住宅の住戸内に設けられた昇降機)
・積載量1トン以上のエレベーター
・住戸内のみを昇降する私的利用に限定されるため
・労働安全衛生法に基づく性能検査を受けており、二重規制を避けるため

遊戯施設については年2回の検査が義務付けられています。これは高速運転や高所での利用をともない、事故が発生すると死傷者が出やすいためです。

実施者:専門資格を持つ検査技術者

エレベーターの定期検査は、建築士(一級・二級)または昇降機等検査員といった専門資格を有する検査技術者によって実施されます。

一級建築士と二級建築士は、建築士法に基づく国家資格です。建築全般に関する幅広い知識を備えた専門家であり、エレベーター検査を含むすべての定期報告業務を担います。

一方、昇降機等検査員は、エレベーターと遊戯施設に特化した専門資格です。平成28年6月1日の建築基準法改正により創設されたこの資格は、昇降機の構造や安全機構に関する深い技術知識を備えた技術者を認定するものです。

 

エレベーターの定期検査と保守検査・性能検査との違い

エレベーターの安全を守るためには、定期検査報告、保守検査、性能検査といった3つの検査が実施されます。

以下の表で各検査の特徴と違いを確認しましょう。

項目 定期検査報告 保守検査 性能検査
法的根拠 建築基準法第12条第3項 建築基準法第8条 クレーン等安全規則第159条
対象 すべての建築物のエレベーター(ホームエレベーター、積載量1トン以上を除く) すべての建築物のエレベーター(ホームエレベーター、積載量1トン以上を除く) 積載量1トン以上のエレベーター
頻度 年1回(遊戯施設は年2回) 月1回程度 年1回
実施者 昇降機等検査員、一級建築士、二級建築士 保守点検業者 労働基準監督署長、または指定機関
報告先 特定行政庁 なし 労働基準監督署
罰則 100万円以下の罰金 なし 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
目的 安全性の公的確認 日常的な機能維持 労働者の安全確保

保守検査:日常点検と予防整備

保守点検とは、定期検査報告とは別に、日常的に行う点検です。建築基準法第8条により「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定められています。

定期検査とは異なり、保守点検には報告の義務がありません。実施者・頻度についても具体的な定めはありませんが、一般的には月1回程度が推奨されています。なお、保守検査の記録は保守点検業者が3年以上保管する決まりです。

性能検査:積載量1トン以上が対象の検査

労働安全衛生法では、積載量1トン以上の設備について、年に一度の性能検査を義務付けています。検査の実施主体は労働基準監督署長、または労働大臣が指定する専門機関となります。

性能検査では、各部分の構造・機能に関する点検、積載荷重相当のものを乗せて昇降の作動を行う「荷重試験」などを実施します。定期検査報告とは実負荷試験を含む点で大きな違いがあります。

 

エレベーターの定期検査の重要性

定期検査で不具合を見逃すと、利用者の命に関わる事故につながる恐れがあります。エレベーターは日々の使用により摩耗や劣化が進むため、専門家による検査で早期に異常を見つけなければなりません。

罰則規定もある

エレベーターの定期検査は建築基準法で定められた法定検査です。検査の報告を怠った際や虚偽の報告をした際、建築基準法第101条により100万円以下の罰金が科されます。この罰則は、報告を失念した場合や報告内容が不正確であった場合にも適用され、いずれも違反行為とみなされます。

故意に基づく虚偽報告については、その行為の悪質性から刑事告発の対象となり得ます。また、万が一エレベーター事故が発生し、検査報告の不履行が発覚した場合は、刑事責任や民事上の損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

エレベーターの定期検査報告書の内容

令和7年7月1日より、エレベーターの定期検査報告書が新様式に変わります。

報告書に記載する主な項目は以下の通りです。

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

基本情報

記載項目 内容
設置場所 建物名・住所
エレベーター情報 製造者、型式、設置年月日
検査実施日 検査年月日
検査実施者 検査を実施した資格者の氏名・資格番号

報告書の第一面には、エレベーターを特定するための基本情報を記載します。どのエレベーターを、いつ、誰が検査したかを明確にするために必要です。

検査結果

検査結果の評価は「要是正」「要重点点検」「指摘なし」の3段階で構成されています。

「要是正」は安全性維持に欠かせない基準値に達していない際に判定され、改善のため工事または調整が直ちに求められます。

「要重点点検」は次回検査までに規定値に達する見込みが高い状態です。そして「指摘なし」は、検査項目のすべてが基準値以上であり、当面の安全性が守られている状態を示します。

検査では適合性を判定し、不適合時は是正措置や補修・改修の必要性を記載します。特に「要是正」と判定された項目については、何が問題なのかを詳しく記録し、その箇所を写真に収めて報告書に添付する義務があります。

不具合の状況・概要

報告書には「改善予定の有無」を記入する欄があり、要是正の指摘があった際は「有」を選択した上で改善予定月を記載します。なお、改善が既に実施済みの際は「改善の状況:実施済」と記載します。

 

エレベーターの定期検査報告の流れ

定期検査報告は通知の受領から報告済証の掲示まで、5つの段階で実施されます。

以下、各段階の内容を確認していきましょう。

定期検査報告の通知

最初に自治体や保守会社から定期検査報告の通知が届きます。各地域の昇降機検査協議会が検査期限の1カ月ほど前に通知を送付するのが一般的です。通知を受け取ったら、次の段階へ進みます。

定期検査の依頼

ビルの管理者または所有者が、昇降機検査資格者等に検査を依頼します。検査員の日程調整や事前準備に時間を要するため、依頼から実施までには通常1〜2カ月程度かかります。

検査当日は、建物管理者や保守会社と連携しながら進めます。検査手数料は昇降機の規模・種類によって異なりますが、ホームエレベーター型式部材等製造者認証エレベーターで17,000円〜25,000円、非常用エレベーターで40,000円〜50,000円が目安です。

定期検査報告書の提出

検査実施後、結果を定期検査報告書に記入して特定行政庁に提出します。提出先は建築物が所在する市区町村の特定行政庁建築指導課です。提出期限は検査後1ヶ月以内が原則で、3ヶ月を超えた報告書は無効となります。

なお、報告書の提出方法は電子申請や郵送、持参など、自治体ごとに指定されています。

定期検査報告書の返却

自治体が報告書を確認し、不備がなければ返却されます。内容に問題があった場合は改善指導が行われるため、その際は速やかに対応しましょう。

定期検査報告済証の送付

自治体から検査完了の証明として定期検査報告済証が送付されます。この報告済証は、建築基準法第12条第3項に基づき、見えやすい位置に掲示する決まりがあります。

 

エレベーター(昇降機)の定期検査報告でのよくある質問

ここまでの内容を踏まえつつ、実際の運用でよくある質問をまとめました。初めて担当する方は、提出前のチェックとしてお使いください。

Q1:検査後30日を過ぎたらどうなる?

A:自治体(特定行政庁)の運用によります。

期限を過ぎると「受理されない」「補正や理由書の提出を求められる」「再検査扱いになる」など手戻りが発生することがあります。30日で一律に「無効」とは限らないため、案内文や自治体窓口で扱いを確認し、遅れそうな場合は早めに相談してください。

Q2:報告書は電子提出できますか?

A:自治体によります。

電子申請に対応している地域もあれば、郵送・持参のみの地域もあります。

必要書類(添付写真、押印要否、PDF形式など)も含め、所管の特定行政庁の提出要領を確認してください。

Q3:検査技術者の探し方は?

A:主に次のルートが確実です。

  • 保守点検(メンテナンス)会社に相談し、定期報告対応できる有資格者の手配を依頼する
  • 地域の昇降機関連団体や検査機関の案内を確認する
  • すでに取引のある建築士事務所に対応可否を確認する

依頼時は「対象設備の種類」「台数」「設置住所」「提出先自治体」「希望時期」を伝えると進みやすいです。

Q4:複数棟のビルをまとめて報告できる?

A:原則として、建物(所在地)や昇降機ごとに報告単位が分かれる扱いが一般的です。

ただし、管理者が同一でも提出のまとめ方(同封・同時提出の可否、台帳の書き方など)は自治体運用で変わります。まずは提出先の要領を確認し、可能なら一覧表を添えて同時提出できるか相談するとスムーズです。

「SynQ Remote」で定期検査をもっとスムーズに!

エレベーターの定期検査報告書は、建築基準法に基づく法定検査の記録です。年1回(遊戯施設は年2回)の検査と特定行政庁への報告が義務付けられており、報告を怠ると100万円以下の罰金が科せられる場合があります。

検査内容を正確に把握するには、現場での立ち会いが欠かせません。しかし、複数の建物を管理している場合、すべての現場へ出向くことは容易ではないでしょう。

そこで役立つのが、現場特化の遠隔支援ツール「SynQ Remote(シンクリモート)」です。本ツールを導入すれば、オフィスにいながら現場の検査状況をリアルタイムで確認できるため、移動時間とコストを削減できます。

複数現場を抱える管理者の方は、ぜひ「SynQ Remote」の導入をご検討ください。エレベーターの安全性を守りながら、日々の業務負担を大きく軽減できます。