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省エネ法の定期報告書とは?報告の内容や注意点を解説!

作成者: QUANDOブログ編集部|Feb 26, 2026 11:38:14 PM

省エネ法の定期報告書とは

省エネ法の定期報告書とは、エネルギー使用量が一定規模以上の事業者に毎年提出が義務付けられている報告文書です。毎年7月末までに、経済産業大臣及びその事業者が行う事業を所管する大臣に提出します。

1979年のオイルショック以降、日本は限りあるエネルギー資源を無駄なく使うために、省エネ法を制定しました。当初は石油などの化石エネルギーを節約し、使用量を減らすことに重点が置かれていましたが、現在は化石エネルギーを太陽光や風力といった再生可能エネルギーに置き換える「脱炭素化」へと軸足が移っています。

定期報告書の主な報告内容

2023年の省エネ法改正では、脱炭素化を後押しするために法律の対象範囲が広がりました。従来の「エネルギーの使用の合理化(省エネ)」に加え、「非化石エネルギーへの転換」に関する内容が新たに追加されています。

省エネ法改正に伴って、定期報告書の報告内容も変更となり、化石エネルギーの使用量に加え、太陽光や風力、水素などの非化石エネルギーの使用量を記載するようになりました。さらに、化石エネルギーから非化石エネルギーへ切り替える中長期計画や実際の取り組み状況の報告も求められます。

なお、省エネ法における住宅に関する定期報告は2017年4月1日で廃止されています。これは「住宅は省エネ対応の報告をしなくてよくなった」という意味ではなく、制度の重心が運用後の報告による管理から、建築時点で基準に適合させる“入口規制”へ移ったことを示しています。

住宅は工場・事業場のように事業者が継続的にエネルギー使用量を管理し、年次で実績を報告する仕組みと相性がよい一方で、住宅は建築後に所有者・居住者が変わることも多く、運用段階の実測値を継続的に集計・報告させる制度設計が難しいという事情があります。そこで住宅分野では、建物の性能そのものを確実に底上げするため、建築物省エネ法を中心に「建てる段階で省エネ基準に適合させる」方向へ制度が整理されてきました。

その流れの一環として、2025年4月からは原則としてすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務化されます。つまり住宅分野は「報告を求めて管理する」よりも、「基準適合を義務付けて確実に守らせる」ほうが実効性が高いという考え方に基づき、制度が移行している点が重要です。

省エネ基準について詳しくは「省エネ基準とは?2025年に義務化される内容をわかりやすく解説!」をご覧ください。

省エネ法の定期報告が必要な事業者とは

定期報告の対象事業者は、年間エネルギー使用量が原油換算で1,500キロリットル以上の事業者です。これを電力に換算すると、年間約580万kWhのエネルギー使用量に相当します。

この基準に達した企業は、エネルギー使用量、エネルギー消費原単位及び電気需要最適化評価原単位とそれらの推移、エネルギーを消費する設備の状況、判断基準の遵守状況などの定期報告が求められます。

定期報告書の内容と記入例

定期報告書は、特定-第1表から第12表までで構成されています。報告表の主な内容は以下のとおりです。

表番号 報告内容 主な記載項目
特定-第1表 事業者の名称等 法人情報、エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者の配置状況
特定-第2表 エネルギーの使用量等 燃料・熱・電気などすべてのエネルギー種別の年間使用量
特定-第3表 エネルギー消費原単位等及び電気需要最適化評価原単位等 事業者全体及び事業分類ごとのエネルギー効率
特定-第4表 過去5年度間の推移 エネルギー消費原単位、電気需要最適化評価原単位、非化石エネルギーの使用状況の変化
特定-第8表 判断基準の遵守状況 省エネ活動の取り組み方針、責任者配置、従業員教育などの実施状況

出典:資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部「-2025 年度版-省エネルギー法 定期報告書・中長期計画書(特定事業者等)記入要領」

ここからは、資源エネルギー庁が公表している記入要領をもとに、各表の内容や記入例をご紹介します。

特定-第2表:エネルギーの使用量

特定-第2表は、定期報告書全体の基礎となる表です。原油などの燃料やガス・電気などのエネルギー種別ごとに1年度分の使用量を計算し、規定された換算式を利用して熱量に変換して記入します。

2024年度報告からは、改正省エネ法に対応し、非化石燃料(黒液、木材、水素、アンモニア等)も報告対象に加わりました。

【記入例】

都市ガス:年間使用量50,000m³→熱量1,910GJ→原油換算49.6kl

電気:年間使用量1,000,000kWh→熱量9,760GJ→原油換算254.8kl

最初に、自社で利用したエネルギー消費量を把握しなければなりません。ガスや電気の請求書に記載されている「使用電力量(kWh)」や「ガス使用量(m³)」の項目を確認し、データ化・保管しておきましょう。

使用量が不明な場合は、電力供給会社や都市ガス事業者に確認を取ります。なお、エネルギー管理システム(EMS)を導入すれば、リアルタイムで使用量を記録・出力できるため便利です。

特定-第3表~5表:エネルギー消費原単位等及び電気需要最適化評価原単位

特定-第3表~5表では、エネルギー消費の原単位及び原単位の過去5年間の推移、改善状況などを報告します。

通常、エネルギー消費原単位は、以下の式で計算します。

【エネルギー消費原単位=(A-B-B')/C】

記号 項目 内容 単位
A エネルギー使用量 燃料の使用量
他人から供給された熱の使用量
他人から供給された電気の使用量
原油換算kl
B 外販したエネルギー量 他者に販売したエネルギーの量 原油換算kl
B' 購入した未利用熱量 他者から購入した未利用熱の量 原油換算kl
C 分母となる値 ※エネルギー使用量と密接な関係を持つ値 各事業に応じた単位

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「事業者向け省エネ関連情報 工場・事業場の省エネ法規制」

※生産数量、売上高、建物床面積、入場者数、外来者数、ベッド数×稼働率 など

【記入例】

製造業の場合:エネルギー使用量300kl÷生産数量10,000個=0.03kl/個

C値は業種特性によって異なります。たとえば、製造業では生産数量、旅館業では延べ宿泊者数、病院では病床数×稼働率、商業施設では売上高を用います。

また、電気需要最適化評価原単位は、改正省エネ法で導入された新しい評価指標です。

電気需要最適化評価原単位=(A’’-B-B’)/C

記号 項目 内容 単位
A'' 非化石燃料使用量 Aのうち、非化石燃料の使用量に0.8を乗じ、電気需要最適化係数を考慮した使用量 原油換算kl
B 販売した副生エネルギー量 他者に販売した副生エネルギーの量 原油換算kl
B' 購入した未利用熱量 他者から購入した未利用熱の量 原油換算kl
C 分母となる値 ※エネルギー使用量と密接な関係を持つ値 各事業に応じた単位

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「事業者向け省エネ関連情報 工場・事業場の省エネ法規制」

※(例)生産数量、売上高、建物床面積、入場者数、外来者数、ベッド数×稼働率など

電気需要最適化係数とは、再生可能エネルギーが余剰するタイミングでの需要シフト及び需給が逼迫する時間帯での需要削減を促進するための係数です。上記の計算式に当てはめて算出します。

特定-第8表:省エネ活動の報告

特定-第8表は「事業者のエネルギーの使用の合理化に関する判断の基準の遵守状況」を報告する表です。

この表では、取り組み方針の策定や責任者の配置、従業員への教育などの設問に対して、「実施している」「一部実施している」「実施していない」など、自社の状況に当てはまる選択肢をチェックします。

主な評価項目は以下のとおりです。

評価項目 具体的な確認内容
取り組み方針の策定 エネルギーの使用の合理化に関する方針の策定及び公表
エネルギー消費原単位の改善目標の設定
省エネルギーの推進体制の整備
責任者の配置 エネルギー管理統括者の選任
エネルギー管理企画推進者の選任
工場等ごとのエネルギー管理士またはエネルギー管理員の配置
従業員への教育 新入社員に対する省エネルギー教育の実施
全従業員を対象に年1回以上の省エネルギー研修
エネルギー管理に関する外部研修への派遣

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「事業者向け省エネ関連情報 工場・事業場の省エネ法規制」

あわせて、エネルギー使用の合理化・電気の需要の最適化、非化石エネルギーへの転換など、省エネに関する取り組みの内容も記載します。

 

定期報告書の提出方法:EEGSを使用

定期報告書は、EEGS(省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム)を通じて提出します。 令和4年度以降、すべての報告はこのシステム経由での提出が義務付けられています。

EEGSを初めて利用する場合は、準備が必要です。最初に「電子情報処理組織使用届出書」(様式43)を各地方の経済産業局に提出します。数日後、経済産業省からアクセスキーが郵送されますので、このアクセスキーを用いて、EEGSのポータルサイトにアクセスし、ログインIDを取得します。

ログイン後の作業は、大きく3つのステップに分かれています。

  1. 「基本情報登録」画面で事業者情報を登録する
  2. 「定期報告書作成」画面で様式第1表から第12表に必要なデータを入力する
  3. 「入力チェック」ボタンをクリックして内容を検証・提出

提出が完了すると、システムから「受領書」がダウンロード可能になります。受領書には提出日時が記載されているため、これを社内保管用の提出証明書として保管しておきましょう。

定期報告書の提出期限と提出先は以下のとおりです。

区分 提出期限 提出先
特定事業者
特定連鎖化事業者
認定管理統括事業者
毎年度7月末日まで 1.本社所在地を管轄する経済産業局
2.事業の所管省庁
特定荷主 毎年度6月末日まで 同上

提出先について、重要なポイントが2つあります。

第一に、事業所を管轄する経済産業局は、本社所在地によって決まります。全国8つの経済産業局があり、本社がある都道府県によって担当局が定まるため、事前に確認しておきましょう。

第二に、事業の所管省庁は業種ごとに異なります。たとえば、製造業は経済産業省、農業・林業は農林水産省、運輸事業は国土交通省というように、企業の主要な事業内容に応じて提出先が変わります。

業種が複数にまたがる場合、主要事業の所管省庁に提出するのが一般的です。

なお、定期報告書の作成では、複数現場のデータ収集とEEGSへの入力作業に時間がかかります。この課題を解決するため、省エネ法に特化したデータ管理システムや、遠隔支援ツールの活用をおすすめします。

現場特化型の遠隔支援ツールの「SynQ Remote(シンクリモート)」なら、安全パトロールでの活用と同様に、現場の設備状況を遠隔で確認し、撮影データに自動で日付・場所を紐づけ、ワンクリックでExcel形式の報告書を作成できます。現場確認から報告書作成まで一括対応でき、定期報告書作成の負担を軽減します。

罰則もあるため注意!

定期報告書の提出は、法律で定められた事業者の義務です。定期報告書の報告を怠ったり虚偽の報告をしたりした場合、行為者及び法人等に対し50万円以下の罰金が課せられます。

さらに、判断基準の遵守状況(特定-第8表)、エネルギー消費原単位の推移(特定-第4表)において、エネルギーの使用の合理化の状況が著しく不十分と認められた場合、合理化計画の作成指示がされます。

合理化計画の作成指示を受けた事業者は、エネルギー使用量の削減目標、設備更新の実施計画、実施スケジュール、投資予算などを含む計画書を作成しなければなりません。計画期間は通常3~5年の中期計画として構成され、年平均1%以上のエネルギー消費原単位低減を目標とします。

指示に従わない場合には企業名の公表・命令が行われ、命令に従わない場合には100万円以下の罰金が課せられます。

定期報告書の評価【S・A・B】

提出された定期報告書等の内容によって、事業者をS(優良事業者)・A(一般事業者)・B(停滞事業者)にクラス分けします。

この評価制度は、省エネ法に基づいて事業活動におけるエネルギー使用の合理化の取り組みを評価するものです。

クラス 判定基準 対応措置
Sクラス
(優良事業者
過去5年間の原単位が年平均1%以上低減
ベンチマーク目標を達成
ホームページで公表
補助金で加点評価
Aクラス
(一般事業者)
Sクラスの基準未達成 特段の措置なし
Bクラス
(停滞事業者)
直近2年連続で原単位が増加
過去5年間の原単位が5%以上増加
注意喚起文書の送付
立入検査の可能性

各評価クラスの詳細について、もう少し掘り下げます。

Sクラス(優良事業者)

過去5年間のエネルギー消費原単位が年平均1%以上低減している、または業界ごとのベンチマーク目標を達成している企業が該当します。経済産業省のホームページで公表され、省エネ設備導入補助金において加点評価の対象となります。

Aクラス(一般事業者)

特段の措置はありません。更なる努力が期待される事業者として位置付けられます。

Bクラス(停滞事業者)

直近2年連続で原単位が前年に比べ増加している、または過去5年間のエネルギー消費原単位が5%以上増加している企業が該当します。この判定を受けると、資源エネルギー庁から注意喚起文書が送付されます。

必要に応じて「報告徴収」や「立入検査」などが実施されます。調査の結果、エネルギーの合理化が「さらに不十分」と判断された場合は、「Cクラス(要注意事業者)」に指定されます。 Bクラスの段階で改善対応を取らない企業は、より厳格な指導対象となるリスクが高まるわけです。

Cクラスに指定された事業者のうち、エネルギー使用の合理化が「著しく不十分」と判断された場合は、「合理化計画の作成指示」が出されることもあります。これは単なる指導ではなく、企業に対する法的拘束力を持つ指示です。

 

「SynQ Remote(シンクリモート)」で定期報告書を効率的に作成しよう!

省エネ法の定期報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は罰則が課せられるため、正確な情報把握が不可欠です。 しかし実際には、多くの企業が複数現場のエネルギー使用データを正確に把握し、期限内に報告書を作成することに苦労しています。

この課題が生じる理由は、本社と現場の間に情報のギャップが生じやすいことや手動でのデータ収集には時間と手間がかかり、入力ミスのリスクが高いからです。こうした課題を解決するのが、「SynQ Remote(シンクリモート)」です。 「SynQ Remote」を活用することで、現場の状況を遠隔で確認でき、報告書作成に必要なデータを効率的に収集できます。さらに最新のアップデートにより、新たな機能「AI議事録機能」が備わりました。

AI議事録機能では現場とのやり取りを自動で文字起こしし、写真・録画も自動で紐づけられます。そして報告書作成機能は、通話内容を自動で報告書形式に変換し、点検日・設備名・外観・運転状態といった項目を自動作成します。従来30~40分かかっていた資料作成が1分で完了し、複数現場のデータ把握から報告書作成まで、すべての課題をワンストップで解決します。

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