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中間検査とは?対象となる建物や検査項目・必要な書類を解説

作成者: QUANDOブログ編集部|Sep 8, 2025 11:18:30 PM

中間検査:中間工程における法定検査

中間検査は、建設中の基礎や柱など、工事が完了すると壁や天井で覆われてしまい目視確認が難しくなる部分を対象に実施されます。検査員は基礎、柱、梁など完成後に隠れる部位を確認して、法基準に適合した時点で「中間検査合格証」が交付されます。基準を満たさない場合は、次の工程に進むことができません。

ここで、中間検査の目的と流れを改めてご紹介します。

建築確認と完了検査の間に行う

中間検査は、建築確認と完了検査の間に行う法定検査の一種で、基礎の配筋や柱、梁など、建物の骨格を支える構造耐力上主要な部分が法令の基準に適合しているかを確認します。建物の安全を確保し、後続の工事に進む前に問題がないかチェックするための検査です。

一般的な建築プロセスと交付書類は、以下のようになっています。

中間検査は、上記プロセスの第5段階に位置し、建物の安全性を確保するために必要不可欠な手続きです。クリアすることで、安心して次の工程へ進む準備が整い、工事を円滑に進めることができます。

中間検査のルールは各自治体が決める

中間検査の対象となる建築物や、検査を行うタイミングである「特定工程」は、全国で一律に決まっているわけではありません。

中間検査のルールは、地域を管轄する「特定行政庁(自治体や都道府県などの行政機関)」が決めています。

たとえば、東京都(2025年7月現在)は木造「屋根小屋組」、鉄骨造「1階建て方」を特定工程に指定しています。こうした指定は特定行政庁ごとに異なるため、自治体に最新基準を確認してください。

特定工程の完了日から4日以内に申し出

建築基準法7条の3において、特定工程完了から4日以内に申請書が建築主事へ到達することが義務付けられています。期限を過ぎると再検査が必要になり、工期が再び延びる恐れがあります。

 

2025年の建築基準法改正による影響

2025年4月に施行される建築基準法の改正に伴い、建築確認や検査の取り扱いが変更されます。これを受け、建築基準法にもとづいて各特定行政庁が定める中間検査の告示内容も一部で見直されています。

そもそも中間検査制度は、建築物の安全性を確保することを目的としたもので、今回の各特定行政庁による見直しも、本制度の趣旨に沿ったものと考えられます。

また、工事の過程で設計図書にやむを得ず軽微な変更が生じた場合は、その内容や理由を明確に記録し、報告書やチェックシートを通じて検査員に説明する準備をしてください。適切な報告がなければ、是正指示を受けたり、検査に合格できなくなったりする可能性があります。

建築基準法改正については国土交通省の「改正建築基準法について」を御覧ください。

 

検査対象となる工事項目

建築中間検査は、特定の工程で建物の安全性を確認する大切な手続きです。建築確認を担う責任者は、どのような建物や工事が対象となるのか、どの検査内容が異なるのかを、しっかりと把握しておく必要があります。

ここでは以下のポイントにわけて、検査対象の工事項目を解説します。

 

中間検査が必要な建物・工程の基準

2階建ての木造一戸建て住宅などであれば、法定上、全国一律で中間検査の対象として定められている対象工程は存在しません。しかし、特定行政庁が対象建築物、特定工程、「特定工程後の工程」を別途指定しているケースがあります。

中間検査の法定対象となる基準は以下の通りです。

  • 対象建物:階数が3以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事を含む建築物(法第7条の3第1項第1号)
  • 特定工程:2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事(令第11条)
  • 特定工程後の工程:2階の床及びこれを支持するはりに配置された鉄筋をコンクリート等で覆う工事(令第12条)

なお、特定行政庁によっては、特殊建築物(例:共同住宅を除く床面積500平方メートル以上かつ3階建て以上など)を中間検査の対象として別途指定している場合があります。

 

木造住宅における検査項目

木造住宅の中間検査では、構造安全性に直結する重要な工程が検査対象となります。

以下、主な検査項目をまとめました。

検査項目 確認内容
建物の階数及び全体形状 確認申請図書との整合性
土台、アンカーボルト 形状及び配置の確認
筋交い、面材耐力壁 配置及び仕様の確認
通し柱 配置、欠き込み有無及び柱小径の確認
仕口金物 配置及び種別、取付状況の確認
横架材 欠き込み有無及び寸法の確認
火打ち材 配置及び仕様の確認
防腐、防蟻措置 地面から1m以内部分の仕様及び実施状況
使用木材 品質確認

参考・引用:国土交通省「改正建築基準法 2階建ての木造一戸建て住宅(軸組構法)等の確認申請・審査マニュアル」

特筆すべき点は、土台とアンカーボルトの施工状況確認です。建物の基礎と上部構造を確実に接続するための検査項目であり、土台の材質、寸法、配置間隔が設計図書に適合しているか、そしてアンカーボルトの径、長さ、埋込み深さが基準を満たしているかを目視および計測により確認します。

 

鉄骨造における検査項目

鉄骨造建築物の中間検査では、鉄骨フレームの構造安全性を確保するため、以下のような専門的な検査が行われます。

検査項目 確認内容
建物の階数及び全体形状 確認申請図書との整合性
アンカーボルト 施工状況、台直し等の修正処理状況
部材 配置、寸法、形状の確認
溶接接合部 外観、形状、組立精度の確認
ボルト接合部 ボルト本数、形状、締付状況の確認
ブレース 配置、形状及び施工状況の確認
床スラブ 配置、敷込方向、接合部形状及び施工状況
床構造 形式及び使用材料の種類等の確認
頭付スタッド 配置、径及び施工状況の確認
現場施工部分 錆止め材質確認
使用鋼材 品質確認

これらの検査を適切に実施することで、鉄骨造建築物の耐久性と安全性が確保されます。

 

鉄筋コンクリート造(RC造)における検査項目例

RC造建築物の中間検査では、鉄筋の配置とコンクリートの品質管理が主要な検査対象となります。

検査項目 確認内容
建物の階数及び全体形状 確認申請図書との整合性
柱、梁等の部材 配置及び寸法の確認
柱配筋 径、本数、帯筋ピッチ等の確認
梁配筋 径、本数、あばら筋ピッチ等の確認
壁配筋 径、本数、縦横ピッチ等の確認
スラブ配筋 径、本数、縦横ピッチ、補強筋等の確認
各配筋の定着、継手 状況を総括的に確認
圧接又は特殊継手 個別に施工状況を確認
開口補強 梁、壁、スラブ等の補強方法、状況確認
(壁は写真確認でも可)
壁、スラブの厚み かぶり厚さ確認
使用材料 品質管理
設備配管等 状況の確認
コンクリート打設時 状況の確認

この中で各配筋の詳細確認は、最も重要な検査項目です。主筋の径、本数、配置間隔、継手の位置と長さ、帯筋の径、間隔、フック形状などが構造計算書と設計図書に適合しているかを詳細に検証します。

 

写真記録が求められる主な工事ポイント

工事が進むと、検査当日に目視で確認できなくなる部分については、工事記録写真の提出を求められることがあります。

特に、以下のタイミングで詳細な写真記録が求められます。

基礎配筋工事終了時

基礎配筋全体やアンカーボルト・ホールダウン金物の配置状況、コンクリート打設後の全景などの写真が必要です。基礎の主筋と帯筋の配置状況、継手部の詳細、かぶり厚さの確保状況を明確に記録しなければなりません。

構造耐力上主要な軸組・耐力壁工事終了時

柱や梁、筋かいといった主要な構造部材の接合部や、耐力壁の金物の設置状況などを撮影します。

屋根の小屋組工事終了時

小屋組の全景や部分寸法・接合金物などの取り付け状況を撮影します。これらの写真は、普段の作業段階から計画的に撮影・整理しておく必要があります。

検査に必要な書類と提出先

中間検査を申請するため、建築基準法施行規則や各自治体の条例で定められた書類を漏れなく揃えましょう。ここでは、必要な書類と提出方法について詳しく解説します。

提出が必要な図面・申請書類

中間検査を申請するためには、建築基準法施行規則第4条、第4条の8などにもとづき、各自治体や指定確認検査機関が定める書類の準備が必要です。

検査で一般的に必要とされる書類は以下の通りです。ただし、自治体や指定確認検査機関によって異なる場合があるため、事前に申請先に確認してください。

  • 中間検査申請書
  • 委任状(代理者が申請する場合)
  • 軽微な変更に関する説明書(確認申請後に軽微な変更があった場合)
  • 工事監理の状況に関する報告書など

以下、基本的な提出書類をまとめました。

書類名 必要条件
検査申請書 1部(必須)
委任状 代理申請の場合のみ
建築士免許の写し 設計者・工事監理者分
工事計画・施工状況報告指示書類 確認時に指示された場合
軽微な変更図面 変更が生じた場合
確認申請図書の副本 民間確認検査機関利用時
工事監理報告書 自治体指定の場合

最初に「中間検査申請書」を準備しましょう。この申請書は1部の提出が求められており、指定確認検査機関によっては、1面から4面までの詳細な記入が必要です。

また、建築主本人に代わって代理人が申請手続きを行う際は、その権限を証明する「委任状」が必須となります。加えて建築確認申請時から設計者や工事監理者に変更が生じた場合、所定の変更届を提出してください。

申請時に必要な工事写真の例

工事が完了するとコンクリートなどで覆われてしまい、目視で確認困難になる箇所の施工品質を検証するため、各工程で撮影された工事写真の提出が求められます。

以下、「京都確認検査機構」のケースを例に、必要な写真の種類を見ていきましょう。

「屋根の小屋組の工事終了時」の写真

木造の場合は小屋組の全景、火打ち、接合金物など、鉄骨造なら小屋組の全景などを写した写真が求められます。

「構造耐力上主要な軸組若しくは耐力壁の工事終了時」の写真

ホールダウンや柱頭・柱脚の接合部、筋かいの金物などを写したものを提出します。

「基礎の配筋の工事終了時」の写真

基礎全体の配筋状況をはじめ、全景、底盤や立上り、基礎開口の部分、開口部の補強筋などを写したものが必要です。

提出先・提出方法(各自治体の建築主事・指定確認検査機関)

中間検査の申請書類は、建築確認申請を提出した自治体または指定確認検査機関へ提出します。提出方法は窓口での提出のほか、自治体によっては電子申請にも対応しています。

検査の予約は、希望日の数日前までに申請書を提出し、手続きを完了させる必要があります。ここで注意したいのは、予約が申請の先着順で受け付けられる場合が多いことです。希望する日程で検査を受けたい場合、工事の進捗を見越して、早めに手続きを済ませましょう。

 

中間検査の流れ

以下のポイントに絞って、中間検査の一連の流れを詳しく解説します。

  • 申請と予約の受付
  • 施工状況の現場検査
  • 審査結果と合格証

受付(予約・書類提出・手数料支払い)

中間検査の受付は、特定工程の工事完了「4日以内」に申請を行います。各自治体や、指定確認検査機関に中間検査の予約、書類提出、手数料の支払いを済ませましょう。

現場検査

現場検査では、申請時に提出した設計図書と、実際の施工状況が適法かつ一致しているかを確認します。中間検査後に設計変更があれば、完了検査で再チェックが必要になる点も押さえておきましょう。

受付手続きが完了すると、建築主事または指定確認検査機関の検査員が現場を訪れ、検査を実施します。これは建築確認申請時に適法と認められた設計図書と、実際の施工内容が正しく整合しているかを確かめるために実施されます。

なお、検査内容を後から追跡できるよう、工事監理者と施工者は検査当日の写真と記録簿を保存する義務があります。

審査(合格・不合格の場合)

現場検査の結果にもとづき、建築物が建築基準法および関連法令の基準に適合しているかどうかの最終的な審査が行われます。

結果 対応内容
合格 中間検査合格証の交付、特定工程後の工程に進む
不合格
(計画変更必要)
計画変更の確認申請→変更確認済証の交付→中間検査の再申請
不合格
(工事未完了)
特定工程にかかる工事の完了後→中間検査の再申請
軽微な変更対応 所定の様式である「軽微な変更説明書」などを提出し、検査時にその内容を報告
中間検査申請書の「確認以降の軽微な変更の概要」に変更内容を記載し、「軽微な変更説明書」を別添として添付

審査の結果、全ての項目で基準を満たしていると判断されれば「合格」となり、建築主に対して「中間検査合格証」が交付されます。この合格証を受け取って初めて、壁や天井を張る工事など、特定工程後の工事段階に進むことが法的に許可されます。

一方で、不合格となった場合は、指摘された箇所を是正し、再度中間検査を申請することになります。

 

中間検査を効率よく進めるポイント

中間検査は、建築物の安全性を確保するために欠かせない重要な工程です。ここでは、検査をスムーズに進めるためのポイントをご紹介します。

写真とメモの活用で引継ぎの手間を軽減

中間検査では、検査官の目視確認だけでなく、写真や報告書などの記録が大切な確認資料となります。そのため、現場の状況を常に記録し、整理しておくことが欠かせません。

現場事務所と作業員の情報共有を円滑化するには、写真やメモを活用した記録システムの構築が有効です。こうした仕組みがあることで、工程間の引継ぎにかかる手間を減らし、情報の欠落や認識のズレを防ぎやすくなります。

監督・監理のリモート検査で「確認ミス」「提出忘れ」を防止

作業員だけで検査を行う体制では、確認ミスや必要書類の提出忘れが発生する可能性が高まります。これを防ぐため、現場監督や工事監理者による適切な確認体制の構築が不可欠です。

しかし、監督者が複数の現場を同時に担当している場合、現場間の移動に多くの時間がかかり、業務効率が低下してしまいます。近年の建設業界では労働人口の減少や長時間労働の常態化が深刻化しており、効率的な現場管理手法の導入が急がれます。

こうした課題を解決する手段として注目されているのが、リモート検査の導入です。国土交通省は令和4年5月に建築基準法に基づく完了検査の遠隔立ち会いを認める指針を公表し、令和6年4月には中間検査も対象に含めるなど、リモート検査の普及を推進しています。

デジタル技術を活用した遠隔検査システムを使えば、現場間の移動時間を大幅に削減できるだけでなく、確認作業の精度向上や記録の効率化が期待できます。

 

「SynQ Remote(シンクリモート)」導入で中間検査をもっとスムーズに!

今回の法改正により、一部自治体では中間検査の対象建築物が拡大されます。それにともない、設計部との連携不足による検査遅延や、新人監督への引継ぎ不備といった課題を抱える現場も少なくないでしょう。

これらの課題を解決するために注目されているのが、現場特化型ビデオ通話ツール「SynQ Remote(シンクリモート)」です。

本ツールは、リモート検査機能により複数現場の進捗を一元管理し、移動時間の削減と確認作業の精度向上を同時に実現します。さらに、写真とメモを活用した記録システムが標準搭載されており、設計部との連携強化や新人監督への引継ぎ業務の効率化に貢献します。

ツールの導入によって、現場監督が抱える以下の課題をまとめて解決できます。

  • 検査遅延の防止
  • 確認ミスおよび提出漏れの削減
  • 引継ぎ業務の負担軽減

「SynQ Remote」は、検査準備の精度向上と業務効率化を同時に実現する確実なソリューションです。導入メリットや具体的な活用事例は、以下のサービスページで詳しくご紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。