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【建設業法改正】現場技術者の専任合理化とは?内容や注意点を解説

作成者: QUANDOブログ編集部|Jun 23, 2025 11:13:24 PM

現場技術者の専任合理化とは?

2024年12月13日より建設業法の改正が施行され、主任技術者・監理技術者の専任義務が一部緩和されました。これを専任合理化といい、建設業法の改正によって実現した、技術者の現場配置に関する新たな仕組みです。

具体的には、一定条件のもとで、現場技術者が複数現場を兼任できるようになりました。また、「営業所技術者(建設業者の営業所に配置される責任者)等」と現場の技術者職との兼任も可能になり、人材活用の幅が広がっています。

さらにICTの活用も重要なポイントです。カメラやオンライン会議ツールなどを使えば、常に現場にいなくても遠隔から適切な指示や確認ができると認められました。本改正により、少ない技術者でも複数の現場を効率よく管理でき、現場運営の柔軟性が大きく向上しています。

遠隔支援コミュニケーションツール「SynQ Remote(シンクリモート)」は、技術者による複数現場の一元管理、図解を用いた明確な指示伝達、遠隔地からの立会検査による工程短縮など、さまざまな業務で活用できます。

主任技術者・監理技術者とは?

主任技術者は、すべての工事現場に必ず配置が必要とされる責任者であり、施工計画の作成から工程管理、品質確保、安全対策、作業員への技術指導まで、幅広い業務を担当します。建設業法第26条において各現場への配置が義務付けられており、これに違反すると、100万円以下の罰金が科されます。

一方、監理技術者とは、大規模工事現場に配置される上級技術者であり、主任技術者の業務全般に加え、下請業者全体の統括・管理まで担います。建設業法第26条2項にもとづく管理技術者の配置義務に違反した場合、元請業者は100万円以下の罰金を課せられる可能性があります。

建設業法改正のポイント:現場技術者の専任合理化関連

ここからは、現場技術者の専任合理化に関する建設業法改正のポイントを解説します。以下3点に着目し、具体的にどのような改正が行われたのか把握しましょう。

専任特例1号:主任技術者・監理技術者の兼任が可能

令和6年12月13日に施行された緩和措置により、比較的小規模な工事においては、従来必須だった技術者の専従制度が緩和され、特定条件を満たす場合、主任技術者や監理技術者が、最大2か所の現場を兼任することが可能になりました。

「専任特例1号」と称されるこの新制度は、建設業法第26条第3項第1号・第4項に規定されています。なお、工事進行中に条件適合性が失われた場合は、即座に専任体制へ戻す必要があるため、要件の継続的な確認が欠かせません。

建設業法第26条の5新設:営業所技術者等の専任現場兼任が可能

従来の規制では、営業所技術者等が工事現場の主任技術者・監理技術者を兼ねることは認められていませんでしたが、業務効率化・生産性向上の観点から、特定要件を満たす場合に限り両職の兼務が認められました。この新規定も令和6年12月13日から実施されています。ただし、既存の「営業所近接工事」特例との併用は不可能なため、適用する特例制度を一つに絞って運用する必要があります。

専任技術者の名称が「営業所技術者等」に変更

一般建設業の専任技術者は「営業所技術者」、特定建設業の技術者は「特定営業所技術者」と改称され、これらを総称して「営業所技術者等」と呼ぶようになりました。呼称変更は建設業法第7条(一般建設業者向け)および第15条(特定建設業者向け)にもとづくもので、各拠点における契約業務の責任者を明確化する狙いがあります。

改正施行後は、各自治体における許可申請書類の表記が「営業所技術者等」に統一され、公的書類も新制度に沿った記載が求められます。

専任特例1号・建設業法第26条の5の要件

ここでは、「主任技術者・監理技術者の兼任条件(専任特例1号)」と「営業所技術者等の専任現場兼任条件(建設業法第26条の5)」について、具体的な要件をもとに解説します。

主任技術者・監理技術者が兼任可能となる条件(専任特例1号の要件)

専任特例1号の要件に基づき、主任技術者・監理技術者が兼任可能となる条件は以下の通りです。

専任特例1号制度は、技術者の配置を効率化し、業務を最適化するためのものです。上記画像にあるように、請負金額や移動時間、下請次数などの明確な基準が設けられています。

まず、各工事の請負代金が1億円未満であること(ただし、建築一式工事の場合は2億円未満)が求められます。また、工事現場間の移動が一日で可能であり、片道おおむね2時間以内であることが条件となります。さらに、各建設工事の下請次数が3次までであることが必要です。

加えて、各工事現場には、所定の実務経験(1年以上)を有する連絡員を配置しなければなりません。

そして、特筆すべきはICT技術の活用が要件に含まれていることと、現場状況を遠隔で確認できる環境整備が求められています。これにより物理的な常駐がなくても適切な管理が可能になります。

さらに、人員配置計画書を作成し、それを現場に常備・保存していることが求められます。また、各現場への連絡員配置も必須とされ、技術者不在時のサポート体制が重視されるようになりました。

上記要件をすべて満たすことで、1人の技術者責任者が、最大2つの現場を兼任することが認められます。

この制度は、限られた技術者リソースを最大限に活用することを目的としており、特にICTの活用が重要なポイントとなっています。

営業所技術者等の専任現場兼任条件(建設業法第26条の5の要件)

営業所技術者等が専任現場を兼任するためには、建設業法第26条の5に基づき、以下の条件を満たす必要があります。

工事契約は当該営業所で締結されたものであることが条件です。さらに、各工事の請負金額が1億円未満であることが求められます(ただし、建築一式工事の場合は2億円未満が基準となります)。また、兼任できる現場は1件までに限定されています。

営業所と工事現場の距離についても、「1日で巡回可能かつ片道2時間以内」であることが要件となります。加えて、各工事の下請次数が3次までであることが条件です。

さらに、監理技術者等と連絡をとるための「連絡員」を現場ごとに配置することが求められます。また、施工体制を把握できる情報通信技術(ICT)を導入することが必須条件です。このほか、人員配置に関する計画書を作成し、それを保存する必要があります。そして、現場状況を確認できる情報通信機器を設置することも要件に含まれています。

これらの条件をすべて満たすことで、営業所技術者等が現場の技術者職を兼任できるようになります。ただし、兼任できる現場数が1件に限定される点や本特例は既存の「営業所近接の工事」との兼任特例との併用ができないなど、専任特例1号とは異なる制約がある点に注意が必要です。

実務上の現場技術者の専任合理化による影響と注意点

建設業法改正は、技術者不足に対応する画期的な制度です。しかし、実際の運用にあたって、把握しておくべき制約があります。

最大2現場までしか兼任できない

1人の技術者が管理できるのは最大2現場までという制約があり、これは「専任が必要な現場」と「専任不要の現場」の組み合わせであっても変わりません。たとえば、専任特例1号を適用した工事と、専任義務が課されない小規模工事を掛け持ちする場合でも、合計2か所までの枠内に収める必要があります。

上限を超えた場合は法令違反となり、すべての現場に専任技術者の配置義務が発生します。あくまでも、本規制は現場品質と安全性を確保するための「歯止め」であると理解しておきましょう。

専任特例2号(補佐者を専任配置し最大2現場を兼任可能)との併用不可

現場専任の緩和策には「専任特例1号」と「専任特例2号」の2種類があり、これらの併用は禁止です。たとえば、専任特例1号で2現場を担当している技術者が、さらに専任特例2号を使って別の工事も受け持つことは認められません。

専任特例2号は、補佐役を現場に専従配置することで、監理技術者が最大2か所の現場を兼務できる制度です。対照的に、専任特例1号は補助者の配置なしで、一定要件を満たせば兼任を認める枠組みとなっています。

現場技術者の専任合理化を踏まえたこれからの現場管理戦略

専任合理化制度を円滑に運用するには、適切な環境整備が不可欠です。たとえば、連絡員の配置やICT環境が整っていない場合、制度上の要件を満たせず、従来通りの専任義務が必要となる可能性があります。

ICT環境については、スマートフォンやタブレット、オンライン会議システムなどの導入が不可欠とされています。中でも重要なのは通信の安定性であり、現場の状況をリアルタイムで確認できる体制を構築しなければなりません。

遠隔臨場システムについては、「遠隔臨場とは?注目されている背景や導入メリット、注意点を紹介」で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

現場の通信・連携も、「SynQ Remote」でスムーズに

専任合理化制度を活用するには、適切なICT環境の整備が欠かせません。連絡員の配置と合わせて、現場状況を遠隔から確認できる通信環境が必要であるためです。

遠隔支援コミュニケーションツール「SynQ Remote」は、こうした課題を解決します。本ツールの導入により、専任合理化制度の要件を満たすだけでなく、技術者による複数現場の一元管理、図解を用いた明確な指示伝達、遠隔地からの立会検査による工程短縮など、さまざまな業務改善が期待できます。

さらに、「SynQ Remote」は、現場の状況を写真や動画で記録し、コメントやタグを活用して情報を整理・保存する機能を備えています。撮影時の情報(撮影日・場所・撮影者・メモ)をもとにした検索が可能となり、必要な情報に迅速にアクセス可能です。

専任合理化の要件をクリアし、現場の業務効率化を図りたい企業にとって、「SynQ Remote」は最適なソリューションです。建設現場の未来を見据えたデジタル活用の一歩として、ぜひ導入をご検討ください。