早朝の車両基地、終電後の線路点検、そして乗客で賑わう日中の駅構内。
東京メトロの現場では、日々、無数の“判断”が行われています。
その判断を後押ししてきたのは、現地にいる社員の経験と、電話や写真を通じて伝えられる断片的な情報でした。
しかし、重大事故や設備トラブルが発生すると、現場は一気に緊迫します。
「状況を迅速に事務所・本社へ共有したいが、復旧作業を行いながら、現場の状況を共有している余裕がない」
「写真だけでは事故状況が伝わらず、追加の確認が繰り返される」
──そんな中で、本社と現場の“認識のズレ”が復旧作業を遅らせる可能性もありました。
この課題を解消するために選ばれたのが、遠隔映像共有ソリューション「SynQRemote(シンクリモート)」。
映像で“現場の今”をそのまま本社に届けることで、これまで大きな負担となっていた電話や写真撮影による情報共有を削減し、復旧作業 のスピードと正確性を大幅に向上させています。
今回は、実際にシンクリモートを活用している東京メトロ 電気部のご担当者に、導入前の課題、導入の決め手、そして現場に起きた変化について詳しく伺いました。
POINT
鉄道運行の現場では、事故対応の質を左右するのは「いかに早く・正確に状況を共有できるか」です。特に都市鉄道のように利用者が多い事業では、1分の遅れが波及的な影響を生みます。リアルタイムで現場状況を共有できる仕組みは事故の早期復旧に効果があります。
POINT
事故現場の状況把握は、その後の復旧方針、要員の動き、関連部署への通達などの判断時間を左右します。状況把握が遅れたり不十分だったりすると、判断ミスや無駄な動きが生じ、復旧までの時間が延びてしまいます。映像による状況把握は、最初の判断を“間違えない仕組み”として非常に効果的です。
FaceTimeや電話で状況を報告し必要により写真を撮影していました。
関係各所への写真送信には時間がかかる場面が多く、伝達そのものが作業負担になっていたのが現状です。本社側もイメージが掴めず、追加説明を依頼するなど、何度も往復が発生していました。
POINT
電話や写真は情報が“断片的”になりやすく、報告者の主観にも左右されます。誤認が生じると本社は慎重になり、確認作業が増え、対応が遅れる──という“情報遅延の連鎖”が起きがちです。映像共有はその連鎖を断ち切り、全員が同じ情報を同時に理解できる仕組みとして機能します。
課題は、本社への情報共有の遅れでした。
事故対応の際、写真をまとめ、状況を言葉で整理し、本社に伝えるまでにどうしても時間と労力が必要でした。また、重大事故では早期運転再開をするために、他部門との連携が必要であり、本社への迅速な情報共有が重要でした。
POINT
鉄道業務における情報の遅れは、運転再開の遅れや、利用者対応の混乱など、非常に大きな影響を生みます。シンプルな“数分の遅れ”が、結果として数千人規模の移動に影響するケースもあります。情報のタイムラグ解消は、単なる効率化ではなく、社会インフラとしての使命を果たすための基盤といえます。
「伝わる」ことが、これほど現場を変えるのか
今回の取材を通じて強く感じたのは、東京メトロという巨大なインフラを支える現場の“情報の重み”です。
事故対応の現場は、一つの判断が数万人、数十万人の移動に影響を与える極めて緊張感の高い場面です。
そこで行われる判断の質は、提供される情報の質に直結します。
電話、写真、言語化──これらは長年現場を支えてきましたが、それでも「伝わらない瞬間」は必ず存在します。
そのわずかな齟齬が、確認作業を生み、さらに緊張を高めてしまう。
シンクリモートが情報共有の速度を上げ「見ればわかる」という、ある意味もっともシンプルな形に置き換えた。
その結果が、現場と本社が同じ映像を見ながら、同じ判断軸で動けるという組織の変化につながっています。
東京メトロが歩み始めた「情報共有の再定義」は、今後ほかの公共交通機関や社会インフラ企業にも大きなヒントを与えるはずです。
現場と本社が、同じ瞬間を共有しながら、より安全で効率的な鉄道運行を実現する未来──
その一端を垣間見せていただいた貴重な取材でした。