導入事例集|SynQ Remote(シンクリモート)

物流設備トラブルの初動を変える ―「技術者不在」が前提の現場を支える遠隔一次対応―

作成者: QUANDOブログ編集部|2026/03/09 0:34:33

全国に分散する物流拠点を支える物流設備は、止まることが許されない重要なインフラです。

 

一方で、その現場には必ずしも設備の専門知識を持つ技術者が常駐しているわけではありません。日々の運営を担っているのは、出荷管理や現場統括を担当する営業担当者や所長であり、設備トラブルが発生した際には、本社にいる技術管理課が遠隔で状況を把握し、判断を行う必要があります。

 

しかし、従来の連絡手段は電話やメール、写真が中心でした。限られた情報だけでは設備全体の状況を正確に把握することは難しく、「どこが」「どのように」異常なのかを伝えるまでに時間がかかっていました。写真はどうしても一部の切り取りになり、専門用語も通じづらいため、初動判断が遅れてしまうことも少なくありませんでした。その結果、状況確認のためだけに緊急出張が必要となり、複数名の技術者が現地へ向かうケースも発生していました。

 

こうした「技術者不在」を前提とした物流現場の課題に対し、東ソー物流株式会社では、遠隔で初動判断ができる仕組みづくりに取り組んできました。

今回は東ソー物流株式会社様がシンクリモートを活用して取り組んでいる遠隔化の背景や具体的な対応方法について伺わせていただきました。

 

 

 

 

全国の物流設備を、本社の技術管理課がどう支えているのか

――まず、御社の事業内容と、技術管理課の役割について教えてください。

当社は全国各地に物流設備を保有・運営しており、国内では東京・四日市・大阪・山口などに拠点があります。
これらの設備に関する技術的な統括を担っているのが、本社に集約された技術管理課です。

技術管理課では、設備の新設や更新に伴う技術検討、仕様書の確認、施工中の品質管理、稼働後の維持管理までを一貫して行っています。また、設備トラブルが発生した際には、原因調査や対応方針の判断を行う役割も担っています。

 

 

 

電話と写真だけでは判断しづらかった、物流設備トラブルの初動

――シンクリモート導入前、設備トラブル対応ではどのような課題がありましたか。

最大の課題は、現地に技術者がいない状態で、正確な状況を把握することでした。物流拠点では、営業担当者や所長が現場対応の中心となるため、設備に関する専門知識にはどうしても差があります。

電話で話を聞き、写真を送ってもらっても、写っているのは一部だけで全体像が分からず、「もう少し引いて撮ってください」「別の角度から見たいです」といったやり取りが必要になっていました。

その結果、判断に必要な情報がそろわず、初動確認のためだけに緊急出張を行うケースもありました。

 

 

 

映像で判断する「遠隔一次対応」という新しい選択

――シンクリモート導入の決め手と、現在の使い方について教えてください。

導入の決め手になったのは、相手との接続手順が非常に簡素化されており、現場側が迷わず使えることでした。

物流拠点では、設備トラブルが起きた際に、営業担当者や所長が初動対応を行うケースが多く、複雑な操作や事前準備が必要なツールは現実的ではありません。

 

シンクリモートは、スマートフォンを使ってすぐに映像でつながることができ、特別な機器を新たに用意する必要もありません。すでに現場で使用している携帯端末をそのまま活用できる点は、現場にとって受け入れやすく、大きなメリットでした。

 

また、通話中に撮影した写真や動画、やり取りしたデータがセキュリティ管理されたクラウド上で保存・共有できる点も重要なポイントでした。
現地と本社で同じ情報を同時に確認できるため、電話や写真のやり取りを何度も繰り返す必要がなく、初動判断のスピードと精度が向上しました。

ウェアラブルカメラなど、ほかの現場DXツールも検討しましたが、操作が複雑だったり、専用端末の導入が必要だったりと、現場で継続的に使うイメージを持つことができませんでした。
その点、「今ある携帯で、簡単につながる」というシンプルさが、シンクリモートを選定する大きな決め手になりました。

 

 

現在は、トラブルが発生すると、現地の営業担当者や所長がスマートフォンから接続し、技術管理課が映像を見ながら状況を確認しています。ポインタ機能を使って確認箇所を示すことで、専門用語を使わずに意思疎通ができるようになりました。その場で応急対応や停止判断を行い、本当に必要な場合のみ、出張する人員や人数を決める運用ができています。

 

 

 

「技術者不在」を前提にした物流現場に生まれた変化

――導入後、どのような変化や効果を感じていますか。

最も大きな変化は、トラブル発生時の初動判断を、出張前に行えるようになったことです。
以前は、状況を正確に把握するためだけに技術者が現地へ向かう必要があり、場合によっては機械・電気・建築と複数分野の担当者が同時に出張することもありました。

 

導入前は、年間でおおよそ12回程度2名体制での出張を想定して対応していました。東京や大阪といった遠方拠点の場合、片道で5〜7万円程度の移動が発生し、さらに出張中は他の業務を止めざるを得ない状況でした。

 

シンクリモート導入後は、まず現地の営業担当者や所長がスマートフォンで映像を共有し、本社の技術管理課が遠隔で状況を確認します。その結果、

「今回は現地対応が不要」
「行くとしても1名で十分」

といった判断が初動でできるようになりました。

 

結果として、複数名での緊急出張が減り、少なく見積もっても年間で20回以上は削減できていると感じています。これは移動時間だけでなく、出張中に止まっていた本来業務を含めた効果です。

 

また、現地側からは「技術者が画面越しに状況を見ながら指示してくれるので安心感がある」という声もあり、判断に迷いながら対応する場面が減りました。
技術管理課側としても、現場に行く前に状況を把握できることで、より的確な判断と準備が可能になっています。

 

 

 

まとめ|物流設備トラブルは「行く前に判断する」時代へ

物流設備は、止まれば事業に直接影響を与える重要なインフラである一方、すべての現場に技術者を常駐させることは現実的ではありません。営業担当者や所長が現場対応を担い、本社の技術管理課が技術判断を行う――この構造は、多くの物流企業に共通する前提条件と言えます。

 

東ソー物流株式会社の取り組みは、こうした前提を変えるのではなく、前提を受け入れたうえで、初動対応の質を高めるという現実的な選択でした。電話と写真だけに頼るのではなく、映像を共有し、ポインタで指示を出すことで、現地と本社の認識のズレを最小限に抑え、出張の前に「判断できる状態」をつくることが可能になっています。

 

その結果、緊急出張の削減や初動対応の迅速化だけでなく、現地側の安心感や、技術管理課の本来業務への集中といった副次的な効果も生まれました。

「技術者不在」を前提とした遠隔一次対応は、物流設備トラブル対応における一つの新しい標準になりつつあります。

現場に行くこと自体を否定するのではなく、本当に行くべきかを、行く前に判断できる
その仕組みづくりこそが、これからの物流現場に求められているのではないでしょうか。