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竣工検査とは?施主検査との違いやチェックポイント・持ち物を解説

竣工検査とは、建物が完成した後、施主に引き渡す前に行う最終確認検査のことです。引き渡し後のクレームを防ぐには、この段階でのチェックが重要となります。

今回は、施工者として知っておくべき竣工検査のポイントを徹底解説します。外装・外構から内装・仕上げ、設備・配管、防水・安全確認まで、見落としやすい箇所や、具体的なチェック基準を見ていきましょう。

竣工検査とは:建物完成直後の検査

竣工検査とは、工事が完成した状態で引き渡し前に行う最終確認検査です。新築住宅や建物が図面通りに仕上がっているか、品質基準を満たしているかを確認します。主に外装・内装・設備・外構など建物全体が検査対象となります。

これは施主が主体的に行う検査であり、建築会社の施工者、設計監理者、施主が立ち会います。つまり、施主が「設計図通りに施工されているか」「不具合がないか」をチェックするための工程です。

確認範囲は施工不具合の有無、図面・仕様書・品質基準(JASS/JIS/メーカー要領)への適合、法令・申請条件が守られているかなど、多岐にわたります。

建物をチェックしているイメージ

竣工検査と完了検査の違い:タイミング・実施者

よく混同される、「竣工検査」と行政が行う「完了検査」は、タイミング・実施者などが異なります。

「竣工検査」は、施主への引き渡し前に施工不具合をすべて見つけて直す検査です。竣工検査で見落とした不具合は、そのまま施主へ引き渡すことになるため、丁寧に確認しなければなりません。

一方、「完了検査」は、建物が法律に適合しているかを確認する検査です。完了検査を受けないまま建物を使い始めると法律違反となります。竣工検査と完了検査の両方を確実に済ませてから、施主への引き渡しに進みます。

以下、「竣工検査」と「完了検査」の比較表をご覧ください。

項目 竣工検査 完了検査(行政)
実施者 施主(施工者・設計監理者が立ち会い) 特定行政庁または指定確認検査機関
タイミング 工事完了直後
引き渡し直前
完了後4日以内に申請
7日以内に実施
法的根拠 契約に基づく 建築基準法第7条
目的 施工不具合の発見と是正
引き渡し前の最終確認
建築基準法への適合確認
確認範囲 外装・内装・設備・防水・安全・記録類全般 構造・防火・設備など法令関連項目
成果物 指摘票、是正報告書、竣工図など 検査済証
使用開始 できる場合がある 検査済証なしでは違法

竣工検査の際、施主から契約外の追加要望が出ることがあります。その場合は、別途見積書を作成し、施主と合意してから対応しましょう。指摘事項の記録方法や是正期限、確認のルールを事前に統一しておくと、検査がスムーズに進みます。

なお、2026年現在、実務では竣工検査と施主検査を同じタイミングで行うケースが増えています。

竣工検査のチェックポイント

竣工検査は通常、以下の項目に分けて確認していきます。

ここでは、各項目の確認ポイントを解説します。

竣工検査の確認項目をチェックしているイメージ

外装・外構

確認項目 確認内容 チェック方法
外壁・屋根 ひび割れ・浮き・汚れの有無 目視で全面確認
触診で浮きを確認
雨樋・排水 勾配・集水・排水状況 水平器で勾配を測定
実際に水を流して確認
サッシ・窓枠 設置精度
開閉・施錠の動き
防火設備の適合表示
スキマゲージで隙間を測定
各窓を開閉確認
外構 門扉・塀・舗装・植栽の納まり
勾配、排水計画
図面と現場を照合
水平器で勾配確認

外装・外構は建物の第一印象であり、防水性能を大きく左右します。特に雨樋の勾配が不十分だと、雨漏りの原因になるため慎重に確認しましょう。

内装・仕上げ

確認項目 確認内容 許容基準・チェック方法
壁・天井・床 汚れ・傷・段差・隙間 床±5mm
壁±3mm以内
(仕様書で確認)
クロス・塗装 剥がれ・ムラ 全面目視確認
手で触れて浮きを確認
見切り・巾木 納まりの良さ 目視で隙間・ずれを確認
水平器で確認
建具 扉・引戸・収納扉の開閉
建て付け
ソフトクローズの動作
各建具を複数回開閉
動作の滑らかさを確認
床材
フローリングの隙間・反り
目視確認
遮音・防音仕様の認定書確認

許容差は工事仕様書や建築基準によって異なるため、契約時の図面や仕様書で必ず確認しましょう。特に内装は施主の目に入るため、クレームになりやすいです。わずかな傷・ムラで指摘される可能性があるため注意してください。

設備・配管

確認項目 確認内容 チェック基準・記録
電気設備 照明・スイッチ・コンセント・分電盤表示
非常用設備の作動
100V回路0.1MΩ以上
200V回路0.2MΩ以上
絶縁抵抗・漏電遮断器 試験結果の記録確認 建築会社から提出された成績書を確認必須
給排水 蛇口・シャワー・トイレの動作
水漏れ、圧力試験
全水栓を操作
圧力試験記録を確認
空調・換気 運転状態
風量
温度差
外気導入・換気経路
実際に運転確認
スモークペンで気流確認
給湯 温度・圧力・循環の動作
安全装置の確認
設定温度で温水が出ることを確認

電気設備の絶縁抵抗値は法定基準であり、これを下回ると漏電の危険があります。建築会社から提出された試験記録を必ず確認し、基準値をクリアしているか判定しましょう。

防水・安全確認

確認項目 確認内容 チェック方法・基準
防水状態 バルコニー
屋上
浴室の防水状態
散水試験の実施有無
成績書
漏水痕の有無を確認
散水試験 防水性能試験(JASS12準拠) 散水量4L/min/㎡
試験時間10分間の実施確認
屋根水密性 強風を伴う降雨条件での評価 送風散水試験(JIS A 1517)の実施確認
手すり・階段・スロープ 設置と強度確認 強度試験記録を確認
目視で固定状態を確認
火災報知器・避難経路 設置確認
非常灯の点検
全箇所の設置位置を確認
点灯状況を確認
安全リスク 共用部・屋外の転倒・挟み込み等 目視で危険箇所の有無を確認

防水試験は建物の耐久性を左右する工程です。必要に応じて散水試験の実施有無や記録(成績書・写真等)を確認し、求められる場合は引き渡し前に手当てしておきましょう。また、手すりや階段などの安全設備は、法定基準に適合しているか、強度試験の記録を確認します。

記録類・法令適合

確認項目 確認内容 準備・確認すべき内容
行政完了検査 検査済証の準備・取得状況 建築基準法第7条に基づく
完了後4日以内の申請
検査成績書 材料・設備・性能試験の成績書 電気・防水・圧力・風量・照度など全項目確認
竣工図・書類 竣工図・取扱説明書・保証書の整備 実際の施工状態を反映した最新版図面を確認
引き渡し資料 資料の一覧化 施主が引き渡し後に必要な全資料を準備
法令・条例適合 消防同意
景観
バリアフリー
省エネ等
申請条件の適合を最終確認

記録類の整備は、引き渡し後のトラブル対応やアフターサービスの際に必要です。原則として検査済証なしに建物を使用開始した場合、法的違反となります。必ず完了検査に合格し、検査済証を取得してから引き渡してください。

竣工検査を行う前に準備しておくと良いもの

竣工検査をスムーズに進めるために、以下の準備をしておくと効果的です。

竣工検査を行っているイメージ

設計図や仕様書

分類 必要な資料 目的・使い方
図面類 図面一式(意匠・構造・設備)
詳細・納まり図
仕上表
最新版の設計変更反映版
現場の仕上がりと照合し、設計変更が反映された最新版を使用
合否基準 仕様書・標準(JASS/JIS・メーカー要領)
寸法許容差・平滑度・勾配・防水立上りなどの具体的な数値
合否判断の基準を明確化し、判定にぶれが出ないようにする
材料・製品証明 承認サブミット
納入仕様書
認定番号(防火等)
指定材料との一致を確認し、防火設備の認定番号を照合
法令関連 法令・申請条件のチェックリスト 法令適合を確認し、建物規模に応じた申請図書を用意

検査前にこれらの資料を一式揃え、現場で参照できる状態にしましょう。建築会社から最新版の図面を事前に受け取り、合否基準を統一しておくことで、検査当日の判定がスムーズになります。

チェックツール・機材

分類 主な道具 用途
記録・管理用 チェックリスト
指摘票
是正管理台帳(番号・責任工種・期限・再検証・完了記録)
図面閲覧端末(タブレット)と共有環境
図面袋
見落とし防止、指摘の記録・進捗管理、現場での図面確認
測定機器 メジャー
レーザー距離計
水平器・角度計
スキマ・厚さゲージ
風量計
照度計
騒音計
温湿度・表面温度計
寸法・勾配の数値確認(例:排水勾配1/100以上を水平器で測定)
電気関連 テスター
絶縁抵抗計
回路チェッカー
非常用設備試験器具
絶縁抵抗の確認(0.1MΩ以上が基準)、漏電防止
防水・漏水 散水器具
色水
ウエス
養生材
実際に水を流して漏水の有無を確認、色水で漏水箇所を特定
記録・安全装備 カメラやスマホ
指摘番号シール
マスキングテープ
白板・ペン
ヘルメット
安全靴
保護手袋
ハーネスなど
不具合箇所の写真記録(是正前後の比較)、指摘箇所の明示、現場での事故防止

一部の不具合は、測定機器を使うことで初めて発見できます。特に、絶縁抵抗の値や排水勾配などは、ツールで確認する必要があります。

不具合箇所は写真で記録し、指摘番号シールを貼ります。これにより、是正前後の状態を比較でき、後のトラブルを防ぎやすくなるでしょう。

設備確認用の道具

分類 必要な道具 確認内容
開閉・隙間の確認 スキマゲージ
厚さゲージ
建具の隙間、壁と窓枠の間の隙間を測定(隙間過大は気密性・断熱性の低下につながる)
通水・排水 バケツ
給水ホース
透明容器(封水確認)
ストップウォッチ
実際に水を流して排水のスムーズさ・漏水の有無を確認、排水トラップの封水機能を目視
空調・換気 風量計
スモークペン
温度計(吹出・吸込温度差)
換気扇や空調の風量が設計通りか確認、スモークペンで空気の流れを可視化
給湯・給水 圧力計(試験成績書確認)
温度計
止水栓用工具
給湯器の設定温度・給水圧力を確認(圧力不足は上階での給水不良につながる)
気密・防水 ライト
鏡(狭所)
スクレーパー(端末確認)
暗所・狭所でもライト・鏡を使って隅々まで確認、防水処理の端末施工状態をチェック

隙間過大は気密性や断熱性の低下につながり、後から苦情になりやすいポイントです。スキマゲージで実測しておくことで、基準範囲内かを客観的に判定できます。

特に排水トラップの封水機能や給水圧力は、数日後に問題が顕在化することもあります。引き渡し前にチェックしましょう。

記録・引渡し資料

分類 必要な資料 目的・内容
検査記録 指摘票
是正報告書
施工写真(Before/After)
試験成績書
指摘票に不具合の内容・場所・是正期限・担当者を記載
是正後はBefore/Afterの写真で改善を証明
製品・材料証明 納入仕様書
適合認定書(防火等)
ロット管理(必要時)
使用した材料・製品が設計図や仕様書で指定されたものと一致しているかを証明
竣工図・取扱説明書 竣工図(意匠・構造・設備)
取扱説明書
保証書
実際に施工された状態を反映した最終版の図面、引き渡し後の維持管理に必要な説明書・保証書
法的書類 検査済証
検査調書
申請写し(消防同意等)
建築基準法第7条に基づく完了検査の合格証明
維持管理資料 点検計画
メンテナンス手順
消耗品リスト
保守窓口情報
引き渡し後、施主が建物を適切に維持管理するための資料
引渡し資料 操作手順
緊急時対応
禁止事項
注意事項
鍵管理
セキュリティ設定
設備の操作方法やトラブル時の対応手順をまとめた資料

これらは竣工検査で見つかった指摘事項を記録し、是正後に引き渡すためのものです。

たとえば、検査済証は、建築基準法第7条に基づく完了検査の合格証であり、この書類がないと建物を使用開始できません。同じく検査調書や申請写しも、法的根拠を示す重要な書類です。

是正報告書とBefore/After写真は、施工管理者の責任と対応の証跡となります。引き渡し後のトラブル対応時に必要となるため準備しましょう。

竣工検査の記録は、引き渡し後のアフターメンテナンスにも役立つ

また、竣工検査は、引き渡し前の最終確認という位置づけですが、実際には引き渡し後のアフターサービスや定期点検の出発点でもあります。

そのため、検査時の指摘事項や是正履歴は、その場限りの記録ではなく、将来の問い合わせ対応や点検時の判断材料として残しておくことが重要です。

たとえば、竣工検査の時点で「仕様上問題なし」「許容範囲内」と判断した内容であっても、引き渡し後に施主から再度質問や指摘が入ることがあります。
その際に、

・いつ
・どこを
・どの基準で
・どう判断したか

が記録として残っていれば、対応の根拠を明確に示せます。

特に、1年点検や定期点検では、引き渡し前に確認済みの内容が再度話題になることも少なくありません。そうした場面で、竣工検査時の写真や指摘票、是正報告書があれば、当時の状態と現在の状態を比較しやすくなり、不要な認識違いを防げます。

また、是正済みの箇所についても、Before/Afterの写真や補修内容を記録しておくことで、後日の再発時に「初期不具合だったのか」「経年変化なのか」を判断しやすくなります。

つまり、竣工検査の記録は、引き渡しを円滑に進めるためだけでなく、長期的な維持管理と施主対応の質を高めるための基礎資料でもあります。引き渡し前の確認として終わらせず、アフターメンテナンスにつながる情報として整理・保管しておきましょう。

竣工検査でよくあるトラブルと対策

竣工検査は、図面や仕様書どおりに仕上がっているかを確認し、引き渡し後の不具合やクレームを防ぐための重要な工程です。一方で当日は、施主の目線と施工側の判断基準が噛み合わず、指摘事項が想定以上に増えたり、是正と再確認の段取りが崩れて工期に影響したりと、トラブルが起きやすいタイミングでもあります。

ここでは現場で特に発生しやすい以下のトラブルを取り上げ、なぜ起きるのか、どう見分けるのか、検査前後の段取りとして何を整えておくべきかを、対策とあわせて整理します。

  1. 不具合なのか、仕様(許容範囲)なのかで揉める
  2. 傷・汚れ・仕上がり指摘が大量に出て、是正が終わらない
  3. 設備が動かない(通電・通水・ガス未開栓/設定ミス/初期不良)
  4. 漏水・雨漏りの疑い(サッシ、バルコニー、配管)
  5. 手直し後の再確認が曖昧で、直ったかどうかが分からなくなる
  6. 契約外の追加要望が混ざり、無償対応の範囲が曖昧になる

①不具合なのか、仕様(許容範囲)なのかで揉める

施主側は「新品=無傷・完全」を期待しやすい一方、施工側は「仕様・許容差・材料特性」を前提に判断します。ここにギャップがあると、検査が“議論の場”になり、是正範囲が膨らみます。

よくある例

・フローリングの節や色ムラを「傷・不良」と言われる
・クロスの継ぎ目、入隅・出隅の影が「浮き」に見える
・建具のチリ(隙間)や建付けの許容差を超えていないのに指摘される

防ぎ方(段取り)

検査前に、現場で参照できる形で最新版の図面・仕様書・仕上表・メーカー施工要領を揃えておきます。

もし、指摘が出た場合でも「直す/直さない」を口頭で終わらせず、指摘票に「位置(部屋名・通り芯・高さ)」「写真」「判断根拠(仕様書○ページ、メーカー要領○項など)」を残しましょう。「直さない」場合も、理由が記録に残ると、後日の再燃を防げます。

②傷・汚れ・仕上がり指摘が大量に出て、是正が終わらない

内装の指摘は機能より見た目中心になりやすく、施主が細部まで見るほど指摘数が増えます。さらに、手直し作業そのものが新たな傷・汚れを生み、指摘がループすることがあります。

よくある例

・クロス:擦れ、糊の拭き残し、ジョイントの目立ち
・床:線キズ、凹み、巾木の隙間
・建具:枠の打痕、扉の擦れ、取手のガタつき
・クリーニング:窓の拭き筋、コーキング周りの汚れ

防ぎ方(段取り)

施主検査の前に、施工側でプレチェック(社内検査)から是正、クリーニング、最終プレチェックの順で1回整えましょう。

是正作業は「職人が入れば入るほど傷が増える」前提で、「養生の復旧ルール」「手直し後の清掃担当」を決めてから動くと作業がスムーズです。

また、指摘は「写真+シール番号」で管理し、場所が一意に特定できる状態にすることで、同じ場所の再指摘を防げます。

③設備が動かない(通電・通水・ガス未開栓/設定ミス/初期不良)

検査当日に初めて本番の操作をする設備が多く、準備不足(未開栓・未通電)や設定ミスがあると、その場で確認できず検査が止まります。結果として再日程になり、引き渡しに影響します。

よくある例

・給湯器・床暖房:ガス未開栓、リモコン設定ミス、エラー表示
・換気設備:結線ミス、風量不足、フィルター未装着
・インターホン・宅配ボックス:配線・通信設定、電源系統の未確認
・水栓:混合栓の温度が安定しない、止水栓が閉まっている

防ぎ方(段取り)

竣工検査の前に「試運転日」を確保し、通電・通水・(必要なら)ガス手続きを工程に組み込みましょう。

設備は「動いた」だけでなく、最低限の確認項目(例:給湯温度、排水、異音、漏水)をチェックリスト化しておくと問題が発生した際に原因を特定しやすくなります。

可能なら、メーカー資料(取説)と一緒に、試運転記録(いつ・誰が・何を確認したか)を残しておくとその後の対応がスムーズです。

④漏水・雨漏りの疑い(サッシ、バルコニー、配管)

漏水は「発生するタイミング」が読めません。見た目がきれいでも、散水や通水で初めて出ることがあります。引き渡し直前に発覚すると、乾燥や復旧に時間がかかり、工程へのダメージが大きいです。

よくある例

・バルコニー:ドレン周り、立上り、笠木
・サッシ:下枠の水返し、シールの切れ、取合い部
・配管:接続部の締め不足、トラップ不良、通水時の漏れ

防ぎ方(段取り)

防水周りは「見て終わり」にせず、必要に応じて散水試験・通水試験を実施し、写真や記録を残しましょう。

ドレンや排水は、目視だけでなく実際に流し、詰まり・勾配・排水スピードを現場で確認することで、問題を早期発見できトラブルを防げます。

漏水が出た場合に備えて、是正後の乾燥・復旧に必要な日数を見込んだ工程にして余裕を持って点検できるようにすると、安心して引き渡しができます。

⑤手直し後の再確認が曖昧で、直ったかどうかが分からなくなる

指摘が多い現場では「口頭で直した」「現場で見た気がする」が積み上がり、未完了が埋もれます。引き渡し後に「直っていない」が出ると、信頼を落としやすいです。

防ぎ方(段取り)

指摘票をチケットとして扱い、ステータスを最低でも「未対応」「対応中」「対応済(要確認)」「クローズ」に分けましょう。

また、クローズ条件を「担当者の自己申告」ではなく、写真(Before/After)+第三者確認にすることでチェック漏れを防ぎ、未完了を減らすことができます。

また、是正期限を「引き渡し前日」ではなく、再検査日を含めて前倒しで設定しておくと焦らず進行できます。

⑥契約外の追加要望が混ざり、無償対応の範囲が曖昧になる

検査は施主が現物を初めて細かく見るタイミングなので、「ここにも棚がほしい」「照明を変えたい」などの要望が自然に出ます。これを不具合としてまとめてしまうと、費用や工期・責任の所在が煩雑になり、進行に影響が出てしまいます。

防ぎ方(段取り)

指摘票を「不具合(契約内)」と「追加要望(契約外)」で用紙・色・欄を分け、それぞれで管理することで、どこまでが対応すべきなのか、追加見積りが必要なのかを把握できます。

追加要望はその場で約束せず、「別途見積」「工期影響」「承認(誰がOKを出すか)」を明確にしてから着手しましょう。

また、「今回は引き渡し優先。追加は引き渡し後に段取りする」など、判断軸を事前に共有すると揉めにくいです。

竣工検査をスムーズに進める4つのポイント

竣工検査を効率化させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

現場で竣工検査を相談しながら行っている様子

スケジュールに余裕を持つ

検査で不具合が見つかった場合、補修を済ませてから引き渡しに移ります。新築住宅や建物の竣工から施主検査・引き渡しまでの7日前(できれば14日前)までに竣工検査を完了させ、再検査日も事前に確保しましょう。

次に行政完了検査・是正の前後関係を調整し、鍵・通電・通水の準備を工程に組み込みます。指摘の優先度・期限・担当者を明確にし、建築会社内で横断的に共有します。

タイミングを間違えると、引き渡しが大幅に遅れる可能性があります。余裕のある計画を立てることが大切です。

流れを把握する

完成から竣工検査・是正・再検査・引き渡しへと進む流れを関係者で共有しておけば、担当者が変わっても同じ対応ができます。現場責任者として、全体のフローを把握しておきましょう。

建設プロジェクトの完了プロセス

検査当日は、一般的に外装から内装・設備・法令・記録の順で確認します。指摘事項の受付方法や写真の撮り方、ステータス更新のルールを事前に統一しておくとスムーズです。

また、図面と現場の照合手順もフローに組み込んでおくことで、確認漏れを減らせます。

竣工検査当日のタイムスケジュール例

竣工検査は、確認項目が多いため、当日の流れを事前に共有しておくことが重要です。特に、外装・設備・内装・記録確認を無計画に進めると、確認漏れや同じ場所の重複確認が起こりやすくなります。

そのため、開始前に役割分担と確認順を決め、時間ごとの進行イメージを持っておくことが、スムーズな検査につながります。

たとえば、戸建住宅や小規模建築物の竣工検査では、以下のような流れが一般的です。

時間(目安) 内容
9:00 検査開始・参加者あいさつ・当日の流れ確認
9:15 外装・外構の確認
10:30 設備の試運転・通水・通電確認
11:30 共用部や水回りの確認
12:00 昼休憩
13:00 内装・仕上げの確認
14:30 建具・収納・細部の確認
15:30 指摘事項の集計・写真整理・是正内容のすり合わせ
16:30 当日の確認結果共有・終了

午前中は、自然光のあるうちに外装や外構、防水まわりを確認し、午後に内装・仕上げや建具などの細部を確認すると効率的です。

また、最後に指摘事項を一覧で確認する時間を必ず設けることで、「誰が・いつまでに・どう直すか」を整理しやすくなります。

なお、建物の規模や用途によって所要時間は大きく変わるため、マンションの一室と戸建住宅、非住宅施設ではタイムスケジュールを調整する必要があります。重要なのは、すべてを一気に見るのではなく、確認項目を順番に分けて進めることです。

当日の立合い体制を確定する

竣工検査当日は、複数の職種の担当者が現場に集まります。出席者とそれぞれの役割を明確にしておくことで、確認作業の重複や抜け漏れを防ぎ、指摘事項への対応もその場で迅速に行えます。

また、誰がどの範囲を確認・記録するかを共有しておくことで、検査全体の流れが整理され、スムーズかつ効率的に進行できます。

天気が良く明るい時間帯に行う

屋外・防水・外構の確認は、晴天で日中の明るい時間帯に行うのが効率的です。照度が不足している場合、補助照明を使って確認してください。

雨天時は、無理に進めず、漏水痕やドレン周り、立上り処理の代替確認で対応します。そして散水試験は別日に改めて実施するようにしましょう。現場の視認性と安全性を確保することが大切です。

是正指示書は「誰が見ても場所と内容が分かる書き方」にする

竣工検査で指摘事項が出た場合は、是正指示書や指摘票に内容を記録します。このとき、書き方が曖昧だと、施工者が正しく場所を特定できなかったり、是正内容の認識がずれたりして、再検査で同じ指摘が繰り返される原因になります。

そのため、是正指示書は「何が」「どこに」「どの程度」「どう対応するか」が分かる形で記載することが大切です。

たとえば、次のような書き方では情報が不足しています。

悪い例

  • 壁の汚れあり
  • キズあり
  • 建具の不具合あり

このような記載では、どの部屋の、どの位置に、どの程度の不具合があるのかが分かりません。担当者が現場で再確認する手間が増え、是正漏れにもつながります。

一方で、次のように記載すると、対応内容が明確になります。

良い例

  • 2F寝室 東面クロス 入隅から右へ500mm、床から高さ1500mm付近に3mm程度の黒ずみあり。要清掃。
  • 1F洗面室 建具枠左下に5mm程度の打痕あり。補修対応。
  • 玄関ポーチ 外壁見切り部シーリングに打ち不足あり。増し打ち対応。
  • このように、部屋名、面の向き、基準位置からの距離、高さ、症状、対応方法まで書いておくと、是正担当者が迷いにくくなります。

写真と位置情報をセットで残す

文章だけで位置を伝えにくい場合は、写真を併用するのが効果的です。

ただし、写真も全景だけでは不十分で、全景写真+近景写真の2種類を残すと、場所と症状の両方を把握しやすくなります。

また、図面上の位置や通り芯を使って記録すると、さらに特定しやすくなります。たとえば、非住宅や規模の大きい建物では、

A通り−3通り付近

通り芯B-5、床上1200mm

のように記載すると、是正箇所の共有がスムーズです。

是正指示書の目的は、単に「不具合を残すこと」ではなく、現場で迷わず直せる情報として残すことにあります。記録が具体的であるほど、再検査も短時間で済み、引き渡しまでの流れが安定します。

竣工検査にかかる移動コストを遠隔臨場で削減

ウェアラブルカメラとWEB会議システムを組み合わせることで、現場に出向かずに竣工検査を実施できます。つまり、検査精度を確保しつつ、移動時間とコスト削減が可能です。

遠隔臨場で竣工検査を行う様子

遠隔臨場の定義・適用範囲

遠隔臨場では、ライブ映像・音声・画面共有を使い、目視中心の項目や再検証、説明を行います。触診・採寸・試験が必要な項目(防水試験、絶縁測定など)は現地確認を原則とし、遠隔は補完的に使います。

事前準備

項目ごとの遠隔可否を判断し、役割分担(案内・撮影・記録)と配信要件を決めておきます。国土交通省の「建設現場における遠隔臨場に関する試行要領(案)」では、最低640×480ピクセル、15fps以上の映像品質が求められます。

バックアップ回線や録画設定を決め、図面の同時参照、位置・方位の明示、スケール併記を徹底しましょう。これにより、遠隔でも現地と同等の確認精度を保てます。

運用・記録

運用時には、測定値を画面に提示(風量・照度・温度・圧力・絶縁抵抗等)し、ズームやライトで細部を撮影します。

指摘事項はその場で番号管理し、是正計画を合意しておきましょう。さらに、参加者・日時・位置・動画リンクを指摘票に紐付け、セキュリティと映り込み対策を行います。

行政の完了検査への遠隔臨場の適用は、自治体により判断が異なります。遠隔での実施を検討する場合、事前に特定行政庁または指定確認検査機関と協議し、合意を得ておく必要があります。

 

「SynQ Remote」で竣工検査をもっとスムーズに!

竣工検査とは、建物が適切な状態で施主に引き渡されるかを判断する最終工程です。今回ご紹介した検査内容、準備物、進め方を理解すれば、施工管理者として何をすべきか見えてくるでしょう。

一方で、指摘事項の管理、是正の追跡、試験成績書の記録、行政対応といった複雑な業務を並行するのは困難です。記録漏れや対応遅延が、トラブルや法的問題に発展する可能性さえあります。

「SynQ Remote(シンクリモート)」を使えば、遠隔地からライブ映像で現場を確認できます。測定値を画面に映しながら検査を進められるため、移動コストを抑えつつ複数の現場を同時に管理できます。

本ツールは、タブレットやスマートフォンにアプリを入れ、QRコードで現場と本社をつなぐだけで使えます。遠隔臨場で竣工検査をより効率的に進めましょう。

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