【前編】機能で選ばず、浸透で選ぶ――トーエネック情報通信統括部が、部署単位の自律性を尊重しながらSynQ Remoteを浸透させた理由
では、情報通信統括部 安全・環境グループ 担当課長 小林様に、SynQ Remoteの選定背景と社内展開の考え方を伺いました。
【後編】となる本記事では、その小林様のお話の中で「便利だという声が上がっていた」と紹介された東京本部にお邪魔し、実際にSynQ Remoteを業務で活用されている情報通信部 ICTシステムグループの皆様に、現場でのリアルな使い方を伺いました。
担当業務は、大手通信キャリア向けの移動体通信業務。事務所がある東京から、新潟県・茨城県・群馬県といった広域に分散する携帯電話基地局の調査・施工管理を、限られた人数で支えておられます。
事務所はここ(東京)にありますが、現場は遠方になることが多くあります。関東全域を担当しているため、新潟県、茨城県など、離れた場所に行くことがあります。
過去の図面、現地の写真、場合によってはストリートビューも使って状況を把握してきました。これまでは、過去の図面をもとに、自分が現地に行けない場合は「ここの写真を撮ってきて」「こういうところを見せて」と指示し、テレビ電話を使用したり、ビジネスチャットで写真や文章でやり取りしていたのですが、SynQ Remoteでつなぐことでリアルで接続できるようになりました。
大型のビル屋内線工事のように現場に常駐の担当者がいる業務ではなく、現場がころころ変わる私たちの業務に、ちょうどマッチしました。一人の担当が、いろんな人といろんな現場の映像を見るという点でもちょうど良かったです。
無線機等の電気通信設備を操作する仕事が多いのですが、無線機のランプは正常に電源が立ち上がったときに「ずっとついている」ものではなく、点滅・交互点滅・点灯などの色々なパターンがあります。
写真で「正常です」と送ってもらっても、正しいパターンで光っているのかが判断できないんです。SynQ Remoteでつながると、その点滅が正しいパターンで点滅しているかを現地でリアルタイムに確認できます。
これまでは、別のチャットアプリで動画を作成→アップロード→事務所側で受信して確認、という流れでしたが、これは正直、手間がかかりました。今はリアルタイムで状態確認ができるようになりました。
光回線の入線作業で発生したイレギュラー案件の事例です。配管が潰れている疑いがあったため、現地でファイバースコープを用いて調査を実施している状況を、事務所側に「今こういう状態だよ」というのを静止画ではなくSynQ Remoteで見せて伝えました。
事務所側では通信事業者様とやり取りしている担当者がいて、現地の状況を共有しながら「この状態ではすぐにできないので、違う入線方法を考えてほしい」と即座に依頼することができました。現地の状況を共有して電話すると、伝わり方がまったく違うんです。
設計内容の説明でも同じです。写真だけだと部分部分しか映らないので、全体感がわからない。「建物のここから外に出て、この壁沿いを行って立ち上がって、ここから入ります」というルートを、現地でSynQ Remoteをつなぎながら指でさしたりポインターで補助したりして説明すると、理解が早かったです。
取引先の事業者様にも、現地から図面に手書きで書いて後で出すよりも、現地でつないで見せた方が早いのではないか、という方法を提案しました。
立面、平面の図面だけでは、配管ルートが伝わらず、後からの問い合わせが多くなりがちなので、「現地で一度接続してもらい、その場でやり取りする」ことを提案して、初めて使っていただきました。
不具合や施工トラブルが発生時の調査でも、自分は現地に行かず、担当を行かせて「ここを撮ってね」「ここを向けて」と指示しながら撮影してもらうことで、自分が現地に行ったのと同じ理解度でお客様に説明できるようになりました。アスベスト調査でも同じで、有資格者でないと採取はできませんが、採取場所、注意点等の詳細な指示が遠隔で出せるので、現地に行く時間を相当節約できています。
昨年度末から、4ヵ月弱で90箇所の携帯電話基地局の防草対策工事を実施しました。対応したメンバーは若年層が多く、知識も無く、初めて経験する業務でした。繁忙期で積算も作業ボリュームの把握も必要で、4班体制で現場調査に入ったのですが、当社のメンバーは土木の知識がない若手が多いんです。
そこで、私が「わからなくてもいいから現地に行って、接続して」というやり方にしました。専門知識が乏しい若手社員でも、SynQ Remoteで接続してくれれば、私が画面越しに「ここの範囲をこう施工するよ」と判断して、それを別の担当者が同時に聞きながら計画図を書き、お客様への報告書まで仕上げる、という流れができました。
現地では、図面で分からない細かな情報が得られ、図面との相違や、破損を発見することができ、接続している事務所側で、速やかに客先へ報告することができました。
協力会社に現地調査を再依頼するのではなく、直営で調査・積算まで完結できたので、短納期で回すことができました。
以前に使っていた固定型のカメラは、現場の監視やリモートパトロール目的で支給されていました。現場が分かる場所に固定したり、責任者に身につけてもらっていましたが、台数が限られており、異なる現場や協力会社が、次に使う人への引き渡しを行う等、運用が大変でした。
別のチャットアプリでの動画作成・アップロードも、SynQ Remoteのリアルタイム接続と比べると手間が段違いです。「現場の人が、つなぎたいときにつなげる」というシンプルさが、結局いちばん使われる形だと感じています。
ハードルを下げるために、指示書を作成し、不明点があれば現地からアプリで接続するよう指示するというシンプルな運用を徹底しています。事前にアプリをインストールしてもらい、「分からなければ接続して」と伝えるだけです。
それから、関係者専用のビジネスチャットのグループに、SynQ Remoteの接続リンクを常にピン留めしています。これでアクセスのハードルが一段下がります。
協力会社向けにも同じグループはありますが、現状は業務に慣れている方が多く、質問自体が少ないので利用率は低めです。今後、新しい業務が始まれば、現地作業員からの問い合わせが増えて利用が急増する可能性があると見ています。
シンプルに言うと、「使って楽になったな」「手が省けたな」と感じる仕事をしているかどうかだと思います。
現場の人は写真を撮って送るだけなら、あとは事務所側で考えてくれるから、つながなくても困らない。でも、そこから先に報告したり図面を書いたりするボリュームが多い人は、つないだ方が圧倒的に楽です。
CADオペレーターの多くはオフィス内で図面作成を行っており、ペーパードライバーなどで遠方の現場への移動(運転)が難しい方も少なくありません。「現地に行きにくいけれど、現地の状況を見て図面を描かなければならない」という方々にとって、SynQ Remoteは特に効果を発揮します。
一つは、両手が空くデバイスです。眼鏡型のように、現地担当が両手で作業しながら映像を共有できる形があると、メジャーを当てたりしながらでも使えます。
もう一つは、接続のハードルをさらに下げること。スマートフォンのカメラボタンを押すのと同じように、ボタンを押した瞬間に顔認証で接続画面に飛ぶような形になれば、現地の方はさらに使いやすくなります。
携帯電話基地局のような重要インフラの保守では、ベテラン技術者の退職が大きな課題です。
たとえば、40mの鉄塔を建てた経験を持っているベテラン技術者は、ある程度の年齢以上の世代に限られています。現在は、小型化の携帯電話基地局が多く、若手は15mまでの鉄塔しか経験がないこととも多い。
経験したくても経験できない領域が、確実にあります。だからこそ、事務所側のベテランから現場の若手にリアルタイムで指示が出せるSynQ Remoteの仕組みは、技能継承の手段としても価値があると感じています。
ビデオ通話で交わされる会話のなかには、注意点やチェック項目といった暗黙知がたくさん含まれています。それを蓄積し、組織に残していく仕組みづくり――そうした方向にもクアンドさんと一緒に取り組んでいけたらと期待しています。
【前編】の情報通信統括部のお話と、【後編】の東京本部のお話を重ねると、トーエネック様におけるSynQ Remoteの位置づけがより立体的に見えてきます。
情報通信統括部が機能の多さではなく、現場への浸透のしやすさを選定軸に据え、部署単位の意思決定を尊重しながら情報収集を続けるスタンスを取られていること。そして東京本部が、その「シンプルさ」を最大限に活かして、広域分散する基地局現場を少人数で支える日常運用にまで落とし込んでおられること。
「人口減少時代に、現場の遠隔管理は必然である」――小林様の言葉が、東京本部の具体的な活用シーンによって裏付けられている、というのが今回の取材を通じての印象でした。
クアンドとしても、トーエネック様の現場で得られた知見をもとに、SynQ Remoteをさらに進化させていきたいと考えています。