「初回は現地、以降は遠隔」──製薬プラント建設で進む検査DX

プラント建設業A社

プラント建設業A社

業種

設備・プラント建設業

主な利用シーン

検査・現場連携の遠隔支援

利用する人

検査官・現場担当・若手技術者

使用端末

スマートフォン・PC(事務所側)

主な利用機能

ポインタ機能

グループ通話

利用場所

製薬プラント建設現場・事務所

お話を伺った方の担当業務

工事グループでの検査・現場支援

Before

課題

  • 検査官の移動負担と出張コストが大きい
  • 若手が判断に迷いミスが発生しやすい
  • 電話では現場状況が正確に伝わらない
  • 広大な現場で全工程を把握しきれない

 After

導入効果

  • 遠隔検査による移動コストの削減
  • ポインター指示で伝達ミスを防止
  • 若手が安心して相談・判断できる環境
  • 品質確認と教育を同時に実現

今回は、プラント建設の業務を行う企業のご担当者様にシンクリモートを活用した背景や活用方法などをお聞きしました。

 

企業名、担当者名は業務の都合上公表できませんでしたが、プラント建設現場という建設現場の中でも特殊で多くの課題を抱えている企業様の声を届けたいということで、特別に記事の公開のみご了承をいただいております。

 

 

一般的な建設現場よりも規模・構造・関係者が複雑なプラント建設。その背景から始まった遠隔化プロジェクト。

──なぜ遠隔化に取り組もうと考えられたのか?

プラント建設は、一般的な建築現場よりも規模・構造・関係者が格段に複雑です。
現場が広大で、多職種が同時並行で作業を行うため、全ての検査や確認に現地立ち会いするのは現実的ではありません。
さらに、地方の山間部や沿岸部などアクセスの難しい場所で行われることも多く、検査官や技術者の移動コスト・時間的負担が大きな課題となっています。

加えて、熟練技術者の高齢化が進む一方で、若手人材は経験が浅く、技能継承や判断支援のニーズも増加。
そのなかで「遠隔で現場を確認し、指示・指導を行う仕組み」が急速に求められています。

 

今回インタビューさせていただいた企業様ではこうした背景を踏まえ、「初回は現地、以降は遠隔」という新しい検査スタイルを構築。

 

クアンドの遠隔支援ツール「シンクリモート」を活用し、移動ゼロでも品質を担保し、若手育成も進める現場運用を実現しています。

 

 

 

導入前の課題:広大な現場と移動負担、若手の不安

──導入前はどんな課題を感じていましたか?

 

私たちのプラント工事では、東京・大阪・九州の拠点を中心に、全国の現場を担当しています。
特に検査部門は東京にしかなく、三重県や宮崎県など遠方への出張が常態化していました。

 

現場の規模が大きく、検査官が1人で全工程を見切れないことも多かったですね。

また、若手の現場担当者はまだ経験が浅く、「この状況で判断していいのか」と迷うことも多いんです。


電話では伝わりづらく、報連相のタイミングを逃してミスが起こるケースもありました。
ベテランの目を遠隔で借りられる仕組みがあればと感じていました。

 

 

なぜシンクリモートを使う必要があったのか?:双方向コミュニケーションと柔軟運用

──他ツールとの比較や決め手は?

他社のの映像配信サービスも検討しましたが、一方向の映像共有にとどまるため、
現場への指示・指導には向きませんでした

 

その点、シンクリモートは双方向でリアルタイムに会話しながらポインターで指示ができる。
「ここを見て」「もう少し近づけて」が即伝わるのは非常に便利でした。

 

※参考:シンクリモートの双方向ポインタ・お絵かき機能

 

 

──導入当初の苦労は?

チームや権限の設定がやや複雑で、管理者が1名だと運用が属人化してしまう点はありました。
また、弊社のツールとの連携がまだできないのでその点は苦労しています。
今後はワンタップ連携や写真共有の統合を期待しています。

 

初回は現地、以降は遠隔で効率と品質を両立した導入・推進活動

──現在はどのように運用していますか?

シンクリモートを検査用チーム現場コミュニケーション用チームの2つで使っています。
検査では「初回だけ検査官が現地に行き、2回目以降は遠隔で確認」というハイブリッド体制です。
現地担当者がiPhoneで接続し、事務所にいる検査官がポインターで指示。
指摘事項は別の管理ツールに写真で残して是正確認しています。

 

──活用の実感はいかがですか?

まず、移動の削減効果が大きいです。
以前は1現場あたりの出張に1日がかりでしたが、
今は遠隔で確認できるため、検査官の負担がかなり減りました。
また、若手担当がその場でベテランの支援を受けられるので、
「上司が横にいる感覚」で安心して判断できるようになりました

 

──よく使う機能や工夫はありますか?

一番はポインター機能ですね。
「この部分を見て」とピンポイントで指示でき、伝達ミスが減りました。
両手がふさがる課題に対しては、首掛けホルダーなども試しています。
(移動削減効果が高く、できるだけ使える状況を増やしたいので)通信環境が悪いクリーンルーム内ではWi-Fiやメッシュネットを整備するなど、現場ごとに最適化しています。

 

──若手育成の面ではどうでしょうか?

若手が「映像を共有しながら相談できる」ことで、
以前よりも報告・相談のハードルが下がり、心理的安全性が高まりました。
ミスを未然に防げるようになり、協力会社との会話もスムーズになっています。

 

 

今後の展望:検査から現場全体へ、遠隔の“当たり前化”へ

──今後の展開を教えてください。

現状は検査業務の約2割で活用していますが、
今後は中間検査を中心に遠隔比率をさらに拡大する予定です。
また、現場と事務所をつなぐコミュニケーション用途でも、
複数現場での導入を広げていきたいと考えています。

 

──最後に、導入を検討している企業へメッセージを。

「遠隔化」と聞くと難しく感じますが、
私たちはまず“初回は現地、以降は遠隔”という割り切りから始めました。
一度やってみると、移動コスト削減だけでなく、
品質の均一化・若手育成・心理的安全性の向上など、多くの効果が見えてきます。
最初の一歩を小さく始めることが大切だと思います。

 

取材へのご協力ありがとうございました。

 

【取材後記】

今回インタビューをさせていただいた企業様では、遠隔支援を“単なる映像共有”ではなく、
組織の知見を現場に即時届ける仕組みとして位置づけているのが印象的でした。
移動コストの削減だけでなく、若手育成と品質確保を同時に叶えるその運用は、
まさにプラント建設DXの新しいモデルケースといえます。

251891409648

デモ・ご利用事例・
料金プランの
説明を
Webで行なっています。


お気軽にお申し込みください。