遠隔臨場で働き方改革!現場に特化したビデオ通話による技術承継を目指す
業種
建設業
利用シーン
施工管理、立会検査、突発的な確認
利用する人
工事監理者、施工取引先
使用端末
iPhone(現場)、外部カメラ(Xactiウェアラブルカメラ)、PC(監理者)※ザクティは試供中
主な利用機能
ポインタ機能
お絵かき
遠隔撮影
利用場所
木造新築現場(今後:施主宅など)
お話を伺った方
建設推進室 課長代理 林様、主任 加島様
課題
- 管轄する現場が広範囲にあり、事務所から遠いため、移動に時間を取られていた
- 帰社時間が遅くなり、事務作業が業務時間内にできず、残業時間がかさんでいた
- 若手が不明な点がある際に、上司へすぐに確認できず、現場の作業が中断していた
導入効果
- リアルタイムに現場の確認ができ、現場作業の品質向上と工期短縮に繋がる
- 上司確認が容易になり、出戻り工事の防止に繋がる
- 若手の「わからない」を即解決
- 移動時間やコスト削減に繋がる(削減目標:550h/年、396万円/年)
これまでのやり方を変えるため、目を付けたのは「遠隔臨場」
――林さんの部署は、どのような業務をされているのですか?
谷川建設は総合建設業として、木造住宅事業や土木工事、商業施設のような街をつくる仕事まで、幅広く行っています。昨今の働き方改革や法改正に伴い、会社の方針でDXを進めることが2023年6月に決まりました。私たち建設推進室は、同時期に木造住宅事業部の中に設置された、DXを推進する新しい部署になります。
2025年のアナログ規制撤廃を国が進めており、1日1回現場に行かなければならないというやり方が変わることや、2024年問題といわれる残業規制に本格的に取り組むことになり、これまでのやり方を変えない限り、残業時間を減らすことは難しいということで「遠隔臨場」に目を付けました。
(SynQ Remoteを繋いだxactiウェアラブルカメラで遠隔リアルコミュニケーション)※Xactiは試供中
人手不足を移動時間短縮で解消したい、
偶然出会ったSynQ Remoteを早期導入
――現場にどんな課題があってSynQ Remote(シンクリモート)を見つけられたのですか?
課題は大きく3つあり、1つ目は管轄する現場が広範囲で事務所からも遠く、日々の業務の中で、移動時間が大きくかかっていたことです。10分以内の現場もありますが、遠い場所だと片道3時間かかる現場もあります。帰社時間が遅くなり、事務作業等をしているとあっという間に残業時間がかさんでいくことは大きな課題です。2つ目は、技術者の高齢化や若手が入ってこない等、人手不足が顕著なことです。現場の数に対して現場監督の数が足りず、負担は年々増しています。3つ目は、若手が現場を任されても、上司へ確認がすぐに取れず、現場が止まってしまうことが多々ありました。また、忙しい上司に現場に来てもらうことになるので、若手が思うように相談できないことも課題でした。
そうした背景から遠隔臨場のツールを探していて、なかなかしっくりくるものが見つからなかったのですが、偶然にもベンチャー商談会の案内があり、そこでSynQ Remoteを知りました。
「探し求めていたものはこれだ」と、一気にテスト導入・社長プレゼン・本導入に至りました。年間の削減見込として、移動時間は550時間、コストは396万円出すことができたことや、社長が早期導入に積極的だったこともあり、導入までは比較的スムーズに進めたと感じています。
隣でひざを突き合わせて会話しているような、リアルコミュニケーション
――具体的にどういうシーンでSynQ Remote(シンクリモート)は役立っていますか?
現在は、主に大工さんとの打合せや、納品前の立会検査、突発的な確認に使用しています。一人の現場監督が5~10棟の現場を管理しなければならないため、現場監督それぞれにIDを付与して、その中に担当する現場のスペース(フォルダ)を用意しています。
近い現場は10分以内の場合もありますが、遠い現場では片道3時間かかる現場もあります。これまではFacetimeや電話でやり取りをしていたのですが、なかなか現場の状況を言葉で説明するのが難しく、現場に行かざるを得ない状況が多かったです。
SynQ Remoteでは、双方向からのポインタ機能やお絵描き機能でお互いに伝えたいことが視覚的に伝わるので“隣でひざを突き合わせているかのような打合せ”ができます。上司が現場に到着するまでの時間を待たなくてもすぐに聞けるので、ダウンタイムが大きく減少することが期待できます。
――どんな方が積極的に使ってくれていますか?
現場の方は50代、60代の方が多くなかなか積極的に使おうとはしてくれないので、会社の方針で「1日1回必ずSynQ Remoteを使うように」と意識改革を進めています。
導入前のトライアル検証で、図面を見ながら、現場の構造上の問題などを確認している様子を全社集会で流すことも行いました。実際に操作しているところを見てもらうと「これは便利だ」という声が出てきました。直感的な操作でやり取りができるので、とにかく使ってもらうことが早期普及に繋がると考えています。
嬉しかったのが、若手社員が若手同士のミーティングに早速取り入れてくれていたことです。若い人たちはどこか遠慮がちで、上司に聞くことを少し躊躇ってしまう人もいます。若手同士であれば、同じ図面を見ながら意見交換ができると思うので、そういった場面でも積極的に使ってもらいたいですね。
(ポインタ機能で図面のどこを話しているのか、指し示す図)
背中で語る現役世代の教え方をそのまま活かす
――今後どんな風にSynQ Remoteを使っていきたいですか?
今考えていることの1つ目は「技術の承継」です。これまで現場で教えるというのは、上の人たちの背中を見て学んできた人たちが多いです。その方たちの技術はとても素晴らしいのですが、教えて欲しいと言っても、直接やって見せること以外に教え方が分からない方が多いです。例えば長崎で50年現場に携わってきた人が、私はこうやって作るんだというものをSynQ Remoteでやってみせると、それがナレッジとなって、現場で直接見なくてもその技術を学ぶことができます。
2つ目は、お客様のアフターメンテナンスです。現在は何か問題が発生したときに、お客様からコールセンターに連絡が入った後、担当者が現場を確認して、部品の発注や業者の手配をしています。SynQ Remoteを繋いでもらえれば、遠隔で現場を確認して、すぐに部品や業者の手配が可能になります。そうすると、3日以内に解決としている目標を最短で即日対応というのが可能になるかもしれないと期待しています。実際に現場に行かなければできなかったことをSynQ Remoteで変えていくことだけではなく、お客様に便利だと思ってもらえるようなツールとしても活用していくつもりです。