ツールは“便利”では定着しない──自治体インフラ保守の現場で実践する「ワークフロー設計型DX」
業種
自治体インフラ(水道設備)の保守・修繕
主な利用シーン
設備トラブル時の遠隔状況確認・作業報告
利用する人
自治体担当者、現場作業員、上長
使用端末
スマートフォン
主な利用機能
ポインタ機能
グループ通話
遠隔撮影
利用場所
水道施設、設備現場、事務所
お話を伺った方
電設事業部電設リニューアル部 部門責任者 中庄様
Before
課題
- 電話中心の状況共有で現場判断に時間がかかる
- 個人ツール利用で情報が分散し上長が把握できない
- 作業後の確認不足によるヒューマンエラー発生のリスク
After
導入効果
- 映像で現場状況を把握し出動判断が迅速化
- QR接続で自治体との情報共有が簡単に
- 作業報告の映像確認でミス防止と若手支援を実現
自治体の水道設備など生活インフラの保守現場では、突発トラブルへの迅速な対応が求められます。
しかし現場では、電話だけでは状況が正確に伝わらない、個人ツールで情報が分散する、といった課題が多く存在します。
今回お話を伺ったのは、電設事業部 電設リニューアル部 部門責任者の中庄様。
SynQ Remoteを導入し、自治体設備のトラブル対応や社内の作業確認に活用されています。
特徴的なのは、ツールを「現場は便利だから使うだろう」という考え方ではなく、「積極的に業務フローに組み込むことで定着させる」という進め方です。
設備ごとにQRコードを設置した映像連絡の仕組みや、作業完了時の映像確認によるダブルチェックなど、現場に合わせた運用設計によって効果を生み出しています。
本記事では、SynQ Remote導入の背景から具体的な活用方法、そして現場にツールを定着させるための考え方まで詳しく伺いました。
「とにかくスピード」──インフラ保守の現場
――まず、どのような業務を担当されている部署なのでしょうか?
電設事業部の電設リニューアル部で、保守に伴う修繕や工事を担当しています。主に自治体の水道設備などインフラの対応が中心です。
断水につながるようなトラブルもありますし、災害などの影響も含めて緊急性が高い仕事です。あらかじめ工程が決まっている工事とは違い、突発的な対応が多いので、現場ではとにかくスピードが重要になります。
「電話だけでは判断できない」現場の限界
――SynQ Remote導入前はどのような課題がありましたか?
トラブルの連絡が来たとき、電話で状況を聞いて判断することが多かったのですが、電話だけでは現場の状態が分かりにくいんです。
現場担当者が説明してくれても、実際の状況が見えないと判断が難しい。結果として「とりあえず現場に行く」という判断になることもありました。
もし映像で状況を確認できれば、現場に行く必要があるのかどうか、また行く場合でもどういう準備をすればいいのか判断できると思っていました。

個人ツール運用が生む“見えないリスク”
――社内の情報共有についても改善をされたと伺っています。
現場ではTeamsやLINEなどを個人で使ってやり取りしていることもありました。ただ、それだと情報が個人に閉じてしまうんです。
私のところまで情報が上がってこないこともありますし、部署として状況を把握できない。お客様とのやり取りも個人単位になってしまうので、コンプライアンスの面でも少し不安がありました。
やはり組織として情報を共有できる仕組みが必要だと感じていました。
導入の決め手は「QRでつながる手軽さ」
――SynQ Remoteを導入されたきっかけは何だったのでしょうか?
展示会で体験したことがきっかけでした。そのときにQRコードを読み取るだけで接続できるという点に魅力を感じました。
アプリをダウンロードする必要もなく、QRコードを読み取ればすぐにつながる。お客様にとっても負担が少ないですし、現場でも使いやすいと感じました。

ただし、ツールは“便利”だけでは定着しない―現場で本当に必要だったのは「ワークフロー設計」
――SynQ Remoteを活用する中で、最も重要だと感じていることは何でしょうか?
便利なツールだから使ってください、という伝え方ではなかなか定着しないと思います。
現場にはすでにいろいろなツールがありますから、「これも使えばいいですよ」と言われても、結局どれを使えばいいのか迷ってしまうんですよね。
大事なのは、業務のフローに落とし込むことだと思っています。例えば「作業が終わったら必ずSynQ Remoteで報告する」と決めてしまう。そういうルールを決めて業務の流れに組み込むことで、初めて効果が出ると感じています。
現場を変えた「QR連絡」という仕組み
――現在はどのような形で活用されていますか?
自治体設備ごとにQRコードを貼っていただいています。
何かトラブルがあったときは、そのQRコードを読み取ってもらい、映像を交えて連絡をいただく形です。地域によって運用状況は違いますが、ある地域ではほぼこの形に切り替わっています。
実際の運用フロー

作業完了報告を“映像化”してミスを防ぐ
――社内での活用についても教えてください
作業終了後に、スイッチや設定が元に戻っているか、作業の出来栄えに問題がないかをSynQ Remoteで確認しています。
リアルタイムでつながれるときはビデオ通話で確認しますし、難しい場合は写真を送ってもらう形です。
こうすることでダブルチェックができるので、ヒューマンエラーの防止にもつながっています。
若手が一人で抱え込まない現場へ
――導入後、現場にはどんな変化がありましたか?
若手が一人で現場に行くことも多いので、どうしてもプレッシャーはあります。
SynQ Remoteで上長に相談できる環境があることで、孤独感や負担は少し減っていると思います。経験のある上長が見れば、事前に問題を潰せることもありますから。
そういう意味では、若手の成長にもつながるのではないかと感じています。
現場DXを成功させる最後のポイント
――導入を検討している企業へのメッセージをお願いします
ツールを導入するだけでは、なかなか効果は出ません。
便利だから使うという考え方ではなく、「このフローでやる」と決めて業務の中に組み込むことが大事だと思います。
それができれば、自然と現場の効率も上がっていくのではないでしょうか。

次のステップはAI活用
――最後に、今後の展望について教えてください
今は設備の台帳などデータを整理している段階です。
将来的にはAIを使った分析なども考えていて、SynQ Remoteのリアルタイムのやり取りがデータとして活用できるようになれば、より精度の高い判断ができるようになるのではないかと期待しています。